イエメン沖の紅海で、親イラン武装組織フーシ派が6日から貨物船への攻撃を再開し、今年に入り控えていた商船攻撃を再び活発化させている。フーシ派はイスラエルのガザ攻撃が続く限り作戦続行を表明しており、停戦交渉下のイスラエルへの圧力強化が狙いとみられる。
最近の襲撃事案
報道によれば、フーシ派は6日に貨物船「マジック・シーズ」を攻撃、船は沈没したが乗組員22人は全員救助された。翌7日には貨物船「エタニティーC」を襲撃、同船は9日に沈没。この事案で10人が救出、4人が死亡とみられ、6人拘束の情報もある。
イエメン沖、紅海で沈没する貨物船「エタニティーC」。フーシ派が9日に公開した映像より。
攻撃された2隻はギリシャ企業運航のリベリア船籍だが、過去にイスラエル港への寄港歴が指摘されている。
攻撃の背景と国際社会の反応
フーシ派は2023年10月のガザ衝突以降、イスラエル関連船舶への襲撃を常態化させ、これまで100隻以上を標的とした。今回の攻撃再開は、イスラエルのガザ攻撃継続への直接的反応であり、イスラエルへの圧力を強める意図が明確だ。米前政権との紅海での船舶攻撃停止と引き換えの米空爆停止合意があったとされるが、フーシ派指導者は「航行禁止」解除を否定。散発的な交戦が続く中、イスラエルが米国に空爆再開を要請したとの報道もあり、情勢の推移が注視される。
まとめ
フーシ派による紅海での貨物船攻撃再開は、ガザ情勢と連動したイスラエルへの圧力強化が主目的と考えられます。最近の襲撃による船の沈没や死傷者は事態の深刻化を示す。米国・イスラエルを含む関係国の今後の対応が、紅海の安全保障と地域情勢の安定に影響を与えるでしょう。
参考資料:
- 時事通信
- ロイター通信
- EPA時事