参政党・神谷代表の「水道外資売却」発言、宮城県知事が厳重抗議の波紋

宮城県の水道事業を巡り、参政党の神谷宗幣代表が応援演説で「民営化し、外資に売った」と発言した問題が波紋を広げています。これに対し、村井嘉浩知事は「事実無根であり、県民に過度な動揺や不安を与える」として、神谷代表と参政党に対し謝罪と訂正を求める抗議文を提出しました。この政治的発言が、県民のライフラインに関わる重要なインフラへの信頼に影響を与えかねないと懸念されています。

神谷代表の「外資売却」発言とその波紋

問題の発言は、7月13日に仙台市で行われた神谷宗幣代表の応援演説中に飛び出しました。神谷代表は「上下水道必要でしょう。国がやらないから宮城県みたいに民営化しちゃうわけです、おかしい宮城県は。水道なんてめちゃめちゃ大事なわけですよ。なんでそれを外資に売るんですか?外資に任せるのですか?」と強く訴えました。

参政党の神谷宗幣代表が宮城県の水道事業に関する演説で発言する様子参政党の神谷宗幣代表が宮城県の水道事業に関する演説で発言する様子

この「民営化し、外資に売った」という発言は、宮城県の水道事業に対する誤った情報発信として、村井知事の強い反発を招きました。知事側は、県民の生活に直結する重要なインフラに関する誤情報が、不必要な動揺や不安を引き起こすことを深刻に受け止めています。これにより、神谷代表に公式な謝罪と訂正を要求する抗議文が提出される事態に発展しました。

宮城県の水道事業:官民連携の真実

宮城県が抗議文で明確にしたのは、県の水道事業が神谷代表の指摘するような「完全民営化」や「外資への売却」とは決定的に異なる「官民連携事業」であるという事実です。この事業モデルでは、事業運営に民間企業のノウハウや効率性を導入しつつも、水道施設の所有権は県に残り、最終的な責任も県が負い、県民への安定的な水供給を確保しています。

事業運営会社の共同出資企業には確かに外資系企業も含まれていますが、その最大株主は国内企業であり、「外資へ売った」という表現は実態に即していないと県は主張しています。県は、この官民連携スキームを通じて、県民の安全で安心な水の供給体制を維持・強化していると説明しています。

村井知事と神谷代表の最新の見解

7月16日、仙台市で取材に応じた村井嘉浩知事は、神谷代表の発言に対し改めて強い憤りを表明しました。知事は「宮城県は水道事業を日本の企業であれ海外の企業であれ、売り渡した事実は一切ない。水道施設の所有は宮城県にあります。水道料金を上げたり下げたりする際も、県議会の議決が必要であり、勝手に決められるものではない」と強調しました。「宮城県の大切な命の水を、海外の企業に売り渡すなどということが、あるわけがない」と述べ、県の水道事業への誤解を払拭しようと努めました。

一方、同日富山県で取材に応じた神谷宗幣代表は、抗議文について「まだ見ていないので、届いているとは聞きましたが、何がどうなのか分からない」と述べました。自身の発言意図については「たぶん事業も半分以上株持たれているはずなので、そういう意味では株式を売っているはずだから、そこに問題があるという事を言いたかったが、どこにクレームが来ているのかまだ分からないので、また精査して考えます」と語り、詳細な内容を確認した上で対応する意向を示しました。村井知事は神谷代表に対し、7月19日までの報告を求めています。

まとめ

宮城県の水道事業を巡る参政党・神谷宗幣代表の「外資売却」発言は、村井嘉浩知事による厳重な抗議文提出へと発展しました。県の主張する「官民連携事業」と、神谷代表の「民営化し、外資に売った」という認識の間に大きな隔たりがあることが明確になりました。県民のライフラインに関わる情報の正確性は極めて重要であり、政治的発言が与える影響の大きさを改めて浮き彫りにしています。この問題の今後の進展が注目されます。


参考文献: