ホアキン・フェニックス、ガザ人道危機への沈黙を破る「決して正当化できない」

大ヒット映画「ジョーカー」シリーズで知られる俳優ホアキン・フェニックスが、コメディアンのテオ・フォンとのポッドキャストに出演し、イスラエル軍によって多くのパレスチナ民間人が殺害されているガザの現状を「決して正当化できない」と強く非難した。彼の発言は、世界が直面する人道危機への深い懸念を示している。

ポッドキャストでガザの人道危機を非難するホアキン・フェニックス氏ポッドキャストでガザの人道危機を非難するホアキン・フェニックス氏

テオ・フォン氏の「勇敢な」発言への共感

新作映画「Eddington」のプロモーションのため、フォン氏のポッドキャスト「This Past Weekend」に出演したフェニックス氏。フォン氏が今年5月に、イスラエルのガザ攻撃を「ジェノサイド」と表現し、「人類史上最もおぞましい出来事の一つ」と述べたことに対し、「勇敢で正直な言葉に心を動かされた」と称賛の意を伝えた。フェニックス氏は、フォン氏の意見表明が彼自身の番組出演を決めた大きな理由の一つであると明かしている。

地政学を超えた「人権」の視点

フェニックス氏は、現在ガザで起きていることが「本当に、とんでもなく酷いこと」だと語った。「子どもたちが紛争で飢えて死んでいくなんて、全く正当化できない。これって、すごくシンプルな話ですよね?」と強調。さらに、「地政学のことをちゃんと理解していなくても、人権を分かっていればそれでいいと思っています」と述べ、複雑な国際政治の背景よりも、根本的な人権問題に焦点を当てることの重要性を訴えた。

ハリウッドからの声:芸術の責任

フェニックス氏がガザ情勢について声を上げたのは今回が初めてではない。今年5月には、イスラエルによるガザへの攻撃を巡り、ハリウッドの俳優らが連名で発表した書簡にも名を連ねている。この書簡は、「抑圧された声を守るために存在しないのなら、私たちの職業にいったい何の意味があるのでしょうか」と訴え、映画業界の沈黙を非難すると共に、「我々の芸術が、最悪の事態の共犯者となることを拒否しましょう」と強く呼びかける内容だった。

深刻化するガザの人道状況

2023年10月以降、パレスチナ自治区ガザ地区の死者数は5万8000人を超えている。物資の配給所付近では、イスラエル軍の銃撃により子どもを含む800人以上が殺害される事態も報告されている。国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)によると、イスラエルによる支援封鎖によりガザでは致命的な飢餓が広がり、スクリーニング検査を受けた子どもの10人に1人が栄養失調に陥っているという。

ホアキン・フェニックス氏の明確なメッセージは、ガザでの人道危機に対する国際社会の意識を高める上で重要な役割を果たす。エンターテインメント業界の著名人が人権問題を強く訴えることで、喫緊の課題への行動が促されることが期待される。

参照元: Yahoo!ニュース / ハフポスト日本版