お笑いコンビ「爆笑問題」の太田光氏(60)が、TBSの参院選特番「選挙の日2025」にスペシャルキャスターとして生出演し、その真摯な姿勢と鋭い発言で注目を集めました。3時間を超える長丁場にわたり、主要政党の党首らへのインタビューをこなし、番組の最後にはいつものユーモアを交えつつも、「どんだけ真面目にやったんだよ!」という言葉で番組を締めくくりました。彼の政治に対する深い洞察と、時に物議を醸す発言が、今回の選挙特番に新たな視点をもたらしました。
「どんだけ真面目にやったんだよ!」太田光、異例の選挙特番キャスター
太田光氏が同局の選挙特番でスペシャルキャスターを務めるのは今回で4度目となります。2021年10月の衆院選特番では、当時自民党幹事長だった甘利明氏への「ご愁傷さまでした」といった発言が批判を浴びたこともありましたが、今回は以前とは異なる一面を見せました。
バレーボール中継の影響で午後8時50分過ぎに番組が始まった中、太田氏は自民党の歴史的大敗について「衝撃的な数字だと思うんですけど、かと言ってどこの党が喜んでいるのかというとどこも喜んでない」と独自の視点で分析。さらに、「伸ばした党もそれほどバンザイ!という感じではない雰囲気が漂っているのは、この後の日米関税交渉があるから。これだけ分裂した状態、混乱した状態で果たしてこの国は保てるのかっていうことがみんな不安だと思う」と述べ、選挙結果が今後の日米関係や日本の安定に与える影響に懸念を示しました。
主要党首との直接対話:太田光の鋭い質問
番組では、中継で出演した自民党総裁の石破茂首相をはじめ、立憲民主党の野田佳彦代表、国民民主党の玉木雄一郎代表、参政党の神谷宗幣代表、日本維新の会の吉村洋文代表ら、各党首へのインタビューを実施。太田氏は時にユニークな切り口で、時に核心を突く質問を投げかけました。
国民民主党の玉木雄一郎代表には「野党が一つにまとまって」と要望する場面もありましたが、玉木氏から「野党をまとめるという発想自体が古いと思う」と返される一幕も。こうした率直なやり取りは、普段の政治討論番組では見られない太田氏ならではの魅力として視聴者に受け入れられました。
TBS参院選特番「選挙の日2025」でスペシャルキャスターを務める爆笑問題の太田光
「報道特集」問題巡る神谷宗幣氏との激論の真相
特に注目を集めたのは、参政党がTBSの「報道特集」の内容について抗議したことを巡り、参政党の神谷宗幣代表と太田氏が激論を交わした場面でした。「報道特集」のメインキャスターである山本恵里伽アナウンサーが「自分の1票が身近な人たちの暮らしを脅やかすものになるかもしれない」と発言したことが大きな話題となっていましたが、太田氏は神谷氏に対して「神谷さんは決して個人攻撃をしようと思ったわけではないと思う」と前置きしつつも、「(支持者によって)個人攻撃、道徳のかけらもない人格否定のようなものが行われてるとしたら、それはやめていただきたい」と訴えました。
これに対し、神谷氏は「私があおったとか許せないと言ったことは一切ない。個人攻撃はしていない」と否定し、「個人の、じゃなくて番組の編成自体が問題あるということ」と説明しました。太田氏が神谷氏の「あの女性の方も台本読んだだけじゃないかぐらいに思っていた」という発言に対し、「そういうことはないと思いますけど」と返すなど、両者の間で真剣な議論が繰り広げられました。
太田光が最後に語った「日本のあり方」:保守勢力への疑問
番組の終盤、太田氏は「共産党や社民党と(中継を)つなげなかった」と述べ、多くの出演者が保守政治家を自認する顔ぶれだったことへの率直な感想を吐露しました。そして、「僕は日本のあり方は2つあると思っていて、これからもう1回経済を大きくしていくんだというのと、もうちょっと小さな国にして大きな政府にしてっていうのと、もうちょっとそっちの勢力が説明が足りてないんじゃないかというのは正直思いました」と自身の持論を展開。経済成長路線と小さな政府論という日本の二つの進むべき道について、バランスの取れた議論の必要性を提言しました。
総合司会の井上貴博アナウンサーがまとめに入ろうとする中、太田氏の「どんだけ真面目にやったんだよ!」という一言で番組は幕を閉じ、彼の政治と向き合う真剣な姿勢が視聴者に強い印象を残しました。