2025年7月20日に投開票された参議院議員選挙の後、各ラジオ局の開票特別番組には、各政党の党首が生出演しました。今回、14議席を獲得し躍進を遂げた参政党の神谷宗幣代表(47)も番組に出演しましたが、その発言が大きな物議を醸しています。特に、参政党の憲法構想案における「国民の要件」と、その中の「日本を大切にする心」をどのように測るかについてのやり取りが注目を集めています。
参院選後ラジオ出演での物議を醸した発言
参院選投開票日の夜20時からTBSラジオで放送された特別番組『参院選2025<物価高・少子化・分極化>~この選択は何を変えるのか?少数与党に下される審判は』には、評論家の荻上チキ氏(43)をはじめ、日比麻音子アナウンサー、ライターの武田砂鉄氏、エコノミストの崔真淑氏、お笑い芸人の大島育宙氏、政治学者の高安健将氏、フォトジャーナリストの安田菜津紀氏、一般社団法人NO YOUTH NO JAPAN代表理事の能條桃子氏ら、多様なゲストが出演しました。
神谷代表は番組の後半に電話出演し、各出演者から鋭い質問が次々と投げかけられました。その中で、フォトジャーナリストの安田氏が「参政党の憲法構想案の”国民の要件”の中に、『日本を大切にする心を要する必要性』とあるんですが、これどのように量るんでしょうか?」と、その具体的な基準について問いかけました。
参政党の神谷宗幣代表が参院選開票特番で憲法案について語る様子。発言が物議を醸している。
参政党「新日本憲法(構想案)」に明記された「国民の要件」
安田氏の質問の背景には、参政党の公式ウェブサイトで公開されている「新日本憲法(構想案)」があります。この構想案の「第二章 国家」の「第五条(国民)」には、以下のように明記されています。
《国民の要件は、父または母が日本人であり、日本語を母国語とし、日本を大切にする心を有することを基準として、法律で定める》
さらに、この《日本を大切にする心》には、《規範的要件だが、我が国に対する害意がないことをもって足りると解すべきである》という注釈が加えられています。しかし、安田氏が指摘するように、「日本を大切にする心」という内心の概念を具体的にどのように確かめるのか、という点は構想案の中では詳細に記されていません。
神谷代表の「宣誓」という回答とその波紋
安田氏の質問に対し、神谷代表は「これ、なかなか難しいですよね。はい、ですので、それはもう”宣誓してもらう”ということくらいしかないのかなと思います」と回答しました。この「宣誓」という言葉に対し、スタジオからは「宣誓……」と、絶句したような声が複数上がりました。
神谷代表は続けて、その理由と具体例について説明しました。「外国でもですね、やっぱり帰化とかするときにその国に対してですね、反発心を持ってないかとかを量るのがあります。例えば、その国の歴史をどれだけ知っているかですね、あとはそういった敵対するような気持ちがないかとかっていうのはしっかりと聞いてですね、そういうことは『誓います』といった形で、ひとこと頂いてからやってもらうとかですね」。
さらに、その必要性について「それはやっぱり”口で言うだけでいいじゃないか”って言いますけど、やっぱりひとこともらっておくのともらっておかないのでは全然やっぱり違いますのでね」と述べ、「やはり”日本人として一緒に日本を支えていくぞ”という気持ちの表明はしてもらったらいいんじゃないかなと」と、「宣誓」の重要性を訴えました。
曖昧な具体策と今後の課題
安田氏が、この「宣誓」を具体的に法的な規定として設けるのかを再度確認する形で、「宣誓させるには何か規定のようなものを作るということですか?」「具体的に作るということですかね?」と質問を重ねました。
これに対し神谷代表は、「何かそれはみんなで話し合って決めていけばいいんじゃないですかね。特にこうしなければいけないというところまで限定して考えていません」と回答し、具体的な制度設計についてはまだ流動的であるとの見解を示しました。
結論
参政党の神谷宗幣代表がラジオ番組で語った「日本を大切にする心」という国民の要件に関する発言は、その測定方法として「宣誓」を提案したものの、その具体性や実効性について多くの疑問を投げかけました。特に、「話し合いで決める」という回答は、この抽象的な概念をどのように法律として落とし込むのか、という課題を浮き彫りにしています。この議論は、今後の日本の憲法改正論議や、国民の定義に関する広範な議論に影響を与える可能性を秘めており、引き続きその動向が注目されます。