フィリピン大統領府は、フェルディナンド・マルコス大統領が7月22日に米国ホワイトハウスでトランプ大統領と首脳会談を行うと発表しました。これは、トランプ大統領が今年4月に予告していたよりも3ポイント高い20%の相互関税を7月9日に賦課したことを受け、フィリピン側が急遽首脳会談を推進したものです。フィリピン政府は、会談直前に追加で政府代表団を米国へ派遣し、迅速な交渉開始を目指しています。このような状況は、トランプ政権による関税圧力が国際外交に与える影響を明確に示しています。
フィリピンの迅速な外交と韓国の調整難航
トランプ大統領による新たな相互関税の賦課からわずか二日で米国との首脳会談調整が進み、会談日程も十日ほどで決定されたフィリピンのケースは、韓国政府にとって複雑な心境を生じさせています。7月6日に魏聖洛(ウィ・ソンラク)国家安保室長がワシントンを訪問し、マルコ・ルビオ国務長官兼大統領補佐官代行(国家安全保障問題担当)と会談したものの、未だに韓米首脳会談の日程を確定できていない現状は、韓国外交の課題を浮き彫りにしています。当時、魏室長は速やかな韓米会談の必要性を伝え、米国側が「共感を表した」と発表されるに留まりました。
米韓首脳会談の調整に努める魏聖洛国家安保室長
フィリピンとの首脳会談が迅速に調整された事実から、トランプ大統領の日程が李在明(イ・ジェミョン)大統領との会談を妨げているわけではないことが明らかです。むしろ、韓国政府が韓米会談の時期として推進していた7月末に、トランプ大統領が自身のゴルフ場があるスコットランドを訪問するというホワイトハウスの発表もありました。
日米関係と関税問題:日本の経験から学ぶ教訓
早期に米日首脳会談を実現させ、石破首相が「ご機嫌取りの技術」まで披露した日本でさえ、期待された関税猶予は得られず、「怒りがこみ上げる」という内部反応があったことを鑑みれば、首脳会談の開催そのものが全ての問題を解決するわけではないと言えるでしょう。今年初めにトランプ大統領の関税圧力が最高潮に達していた時期には、韓国国内で「一歩下がって各国の対応戦略を見て動くのも悪くない」という意見も存在しました。
しかし、当時の韓国は弾劾により国内のリーダーシップが崩壊しており、他の選択肢がほとんどない状況でした。新政権発足から1カ月以上が経過した現在、ワシントンで広く受け入れられている確実な事実の一つは、すべての重要な決定がトランプ大統領自身によって下されるという点です。閣僚級で合意された事項ですら、トランプ大統領が土壇場で覆した事例は枚挙にいとまがありません。日本は元首相夫人までがトランプ大統領と接触するなど、多角的なアプローチを試みています。こうした状況下で、米国が「共感を表した」というだけの発表に安堵するのは、あまりにも楽観的すぎるのではないでしょうか。
迫る関税交渉期限と韓国外交の緊迫
トランプ大統領が関税交渉の期限として提示した8月1日まで、残された時間は半月を切っています。27カ月にわたり駐米大使を務め、トランプ大統領当選直後には日本よりも早く首脳間の電話会談を実現させた趙賢東(チョ・ヒョンドン)大使が、後任が任命される前に本国へ召還されたことも、状況の緊迫度を物語っています。
結論:積極的な外交努力の必要性
トランプ大統領による一方的な関税は、韓国企業や国民に甚大な影響を及ぼすことが予想されます。そのため、交渉の進捗状況は国民に対し詳細に公開されるべきです。これまでのように、「トランプ大統領が8月1日に再び関税猶予を宣言するはずだ」という漠然とした期待に、国家の命運を委ねることはできません。韓国政府は、迫りくる期限に向け、より積極的かつ具体的な外交努力が求められます。