静岡県伊東市の田久保眞紀市長が、学歴詐称疑惑の渦中にある中、28日の定例会見において、自身の進退について31日に改めて会見を開き説明する意向を表明しました。この問題は、市長の経歴における東洋大学法学部の卒業に関する記述が、実際には除籍であったことが判明したことに端を発しており、市民の間で大きな波紋を呼んでいます。透明性の高い説明が求められる中、市長の発表は今後の市政の方向性を左右する重要な局面として注目されています。
学歴詐称の経緯と広報誌の訂正
田久保市長を巡る学歴詐称問題は、市の広報誌『広報いとう』に「東洋大学法学部卒業」と記載されていたプロフィールが、実際には大学から除籍処分を受けていた事実と異なっていたことから表面化しました。『広報いとう』の8月号では、7月号に掲載された市長のプロフィールについて、「東洋大学法学部卒業」から「除籍」への訂正が明記され、公式に誤りが認められました。この経歴の誤りが市民に与える影響は大きく、市長としての信頼性や資質が問われる事態となっています。
公職選挙法違反容疑での刑事告発受理
28日には、この学歴詐称問題に関連し、伊東市内の建設会社社長が田久保市長を公職選挙法違反の疑いで告発。この告発状が警察に正式に受理されたことが明らかになりました。告発を行った社長は、「今心配なのは、やはりこの状況はどこまで続くのか。市民のための政治を1日も早く取り戻したいと思います」と述べ、早期の問題解決と市政の正常化を強く訴えています。警察は今後、田久保市長が経歴調査票に「卒業」と記載した具体的な経緯について、詳細な捜査を進める方針です。
学歴詐称問題に関する会見で発言する伊東市の田久保眞紀市長
市長の進退に関する姿勢と百条委員会への対応
現在のところ、田久保市長はすでに辞意を表明し、再度の信任を問う「出直し選挙」に出馬する考えを示しています。しかし、28日の定例会見では、31日に再度会見を開くことを理由に、具体的な辞職の時期については明言を避けました。記者からの質問に対し、「できるだけわかりやすく整理した形で31日にお知らせをしたいと思っております」と述べるに留まり、市長継続の可能性についても31日にすべてを説明するとの姿勢を崩しませんでした。
また、市議会の百条委員会が求めている「卒業証書」とされる資料の提出や証人尋問への出頭についても、田久保市長は一貫して拒否しています。これに対し、市長は28日の会見で、「今回の百条委員会におきまして、どのような理由で出頭しなければいけないのかという理由が、細かくというか、しっかりと付記されておりませんでしたので、こちらの方で検討させていただきまして、回答書という形で文書で一度申し入れをした」と説明しました。さらに、辞職を先延ばしにしているのではないかという問いに対しては、「私の方は先延ばしというふうな意識はございません。とにかく今やらなくてはいけないことは、しっかりと最優先でやっております。あとは31日の日にお示しするということで、ひとつしっかりと区切りをつけたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします」と反論し、問題解決に向けた自身の取り組みを強調しました。
伊東市民は、市長の学歴詐称問題とその後の対応に対し、大きな関心を寄せています。31日の会見が、この混乱した状況に明確な区切りをつける転換点となるのか、その動向が注目されます。