ロシア・カムチャツカ沖M8.7地震で広範囲に津波警報、日本大使館も注意喚起

ロシア・カムチャツカ半島沖でマグニチュード8.7の大規模な地震が発生し、太平洋沿岸の広範囲にわたり津波警報が発令されました。この地震は現地に大きな揺れをもたらし、一部地域ではすでに津波が観測されています。各国の当局は警戒を呼びかけており、在韓日本大使館も在留邦人に対し安全確保を求めるなど、その影響は国際的に広がっています。

カムチャツカ半島の被害と当局の対応

ロシアのタス通信によると、地震発生後、カムチャツカ半島のエリゾフスキー地区では3メートルから4メートルの津波が観測されました。このエリゾフスキー地区は震源に近い半島の南東部に位置しています。ロイター通信が伝えるところでは、カムチャツカ州のソロドフ知事は、負傷者は報告されていないものの、津波警報を受けてサハリン地域の小さな町に避難を命じたと発表しました。知事はSNSで「今日の地震は深刻で、数十年で最も揺れが強い」としつつも、「負傷者はいなかったが幼稚園が被害を受けた」と投稿しています。USGS(アメリカ地質調査所)は、日本時間30日午前8時24分にマグニチュード8.7の地震が発生した後も、ペトロパブロフスク・カムチャツキーでマグニチュード6.9や6.3といった強い地震が相次いで発生したことを発表しました。ロシアのインタファクス通信によれば、太平洋に面するペトロパブロフスク・カムチャツキーでは、地震により幼稚園の建物の一部が崩壊するなどの被害が確認されていますが、現時点ではけが人はいない模様です。

周辺地域への津波影響と避難指示

このカムチャツカ半島沖の地震は、周辺の国々にも津波の脅威をもたらしています。韓国の連合ニュースは、朝鮮半島では30センチ未満の津波が予測されていると報じました。これを受け、韓国にある日本大使館は「韓国の沿岸部にも津波の到達が予想される」として、在留邦人に対し、沿岸部や川沿いにいる場合は高台やビルなど安全な場所に避難するよう呼びかけています。ロシアのタス通信は、千島列島北部のセベロ・クリリスクにも津波が来襲したが、住民は高台に避難して無事であるとサハリン州知事が明らかにしたと報じています。さらに南太平洋地域にも影響が及んでいます。ロイター通信によると、ニュージーランドの国家危機管理庁は、カムチャツカ半島付近を震源とする地震により沿岸部で強い潮流や予測できない波の高まりが予想されると発表し、市民に海岸から離れるよう呼びかけています。台湾でも沿岸地域に津波警報が発令され、現地気象当局は日本時間30日午後2時過ぎから津波到達の危険があるとし、南部では最大で1メートルの津波が予想されることから、沿岸地域の住民に警戒と対策を呼びかけています。現地のテレビ各局も地震情報を継続して速報で伝えています。ソロモン諸島の気象当局も津波注意報を発令し、「津波の到達までには時間がかかる見込みだ」としつつ、市民に沿岸から離れるよう促しています。

広範囲に及ぶ影響と安否確認

今回のカムチャツカ半島沖地震は、M8.7というその規模から広範囲に影響を及ぼしており、関係各国の当局が状況を注視し、警戒態勢を敷いています。タイにあるロシア大使館によると、これまでのところロシア本国からの死傷者の報告は入っていないとのことです。万が一、ロシア国内で空港が閉鎖されたり、便が欠航したりする事態が生じた場合には、タイに滞在するロシア人観光客への適切な支援を行う準備があるとしています。各地で津波の到達や余震への警戒が続く中、情報の正確な把握と迅速な避難行動が極めて重要となっています。

参考資料

  • All Nippon NewsNetwork(ANN)
  • USGS(アメリカ地質調査所)
  • タス通信
  • ロイター通信
  • インタファクス通信
  • 連合ニュース
  • ロシア「イズベスチヤ」紙 (画像出典として記載)