韓国の保健指標:期待寿命はOECD平均を上回るも、自殺率や医療費の増加が課題

韓国の保健状況に関する最新のOECD統計が示すところによると、期待寿命は国際平均を上回るものの、自殺率の高さや医療費の急増など、依然として解決すべき課題が存在します。この報告は、韓国社会が直面する健康と福祉の多面的な側面を浮き彫りにしています。

2023年基準で、韓国の期待寿命は83.5年を記録し、経済協力開発機構(OECD)平均の81.1年を2.4年上回りました。期待寿命とは、その年に生まれた子が平均的に生存すると予測される年数を指します。また、乳児死亡率においても、OECD平均の出生児1,000人当たり4.1人に対し、韓国は2.5人と低い水準を維持しています。これらの数値は、韓国の医療技術の進歩と公衆衛生の改善を示唆しています。

自殺率:OECDで依然最高水準ながら改善傾向

高い期待寿命や改善された医療環境にもかかわらず、韓国の自殺率は依然としてOECD加盟国の中で最高水準にあります。2022年基準では、人口10万人当たりの自殺死亡率は23.2人で、OECD平均の10.7人の2倍以上です。しかし、明るい兆しもあります。自殺率は2012年の30.3人から23.4%減少しており、これは同期間のOECD平均自殺率減少率16.4%よりも速いペースで改善が進んでいます。

医療費:GDP比は低いが急増する傾向

2023年基準で、韓国の国内総生産(GDP)に占める経常医療費の割合は8.5%であり、OECD平均の9.1%より低い水準です。しかし、高齢化の影響などにより、1人当たりの経常医療費は年平均7.8%という急激な増加を見せており、OECD平均増加率の5.2%を大きく上回っています。国民1人当たりの経常医療費は購買力平価(PPP)基準で4586ドルに達します。医療費全体のうち、政府や健康保険など公的支出の割合は2013年の55.9%から2023年には60.4%に増加し、家計の直接負担は同期間に38.3%から31.2%へと減少しました。また、医薬品販売額は1人当たり969ドルで、OECD平均の658ドルを300ドル以上超過しています。

健康習慣:喫煙・飲酒・肥満の現状

2023年の韓国における15歳以上の人口の毎日喫煙率は15.3%で、OECD平均の13.2%よりも高くなっています。しかし、喫煙率は2013年の19.9%から徐々に低下傾向にあります。酒類消費は減少傾向にあり、2023年基準で1人当たりの純粋アルコール消費量は年間7.8リットルと、OECD平均の8.6リットルより少ないです。一方、過剰体重と肥満人口の割合は2023年基準で36.5%となり、日本の26.0%に次いで低いものの、徐々に増加しており、2013年の31.5%から10年間で5ポイント上昇しています。

まとめ

韓国の保健指標は、期待寿命や乳児死亡率といった明るい側面がある一方で、高い自殺率、急速に増加する医療費、そして喫煙率や肥満人口の増加といった課題を抱えています。これらの統計は、韓国が今後の保健政策において、国民の健康増進と医療制度の持続可能性をいかに両立させるかという重要な問いを提起しています。


参考文献: