佐賀県伊万里市で発生した痛ましい強盗殺人事件で、地域社会に大きな衝撃が走っています。7月26日、自宅で刺殺された椋本舞子さん(40)の友人たちは深い悲しみに暮れ、彼女の明るい人柄を悼んでいます。事件直後、近隣に住むベトナム国籍の技能実習生、ダム・ズイ・カン容疑者(24)が強盗殺人容疑で逮捕され、捜査は急速に進展していますが、動機解明が急がれています。本記事では、この事件の概要と被害者の知られざる素顔、そして容疑者に関する情報を詳報します。
事件の概要と捜査の進展
事件は7月26日、佐賀県伊万里市内の閑静な住宅街にある椋本舞子さんの実家で発生しました。椋本さんは自宅でダム・ズイ・カン容疑者から現金1万1000円を脅し取られた上、持っていたナイフで首などを刺され、命を落としました。
事件を受け、佐賀県警は迅速な捜査を開始。翌27日にはダム・ズイ・カン容疑者を強盗殺人容疑などで逮捕し、28日に送検しました。容疑者は伊万里市内の食品加工工場に勤務する技能実習生で、他の実習生と共に寮で生活していました。捜査当局によると、事件後、容疑者の寮からは凶器とみられる刃渡り約13.5センチの血の付いたナイフが押収されています。
また、捜査関係者によれば、ダム・ズイ・カン容疑者は事件の数時間前まで休日出勤しており、退勤後に強盗に及んだとみられています。現在、容疑者は黙秘を続けており、佐賀県警は事件の動機解明を急いでいます。JR伊万里駅から約3.5キロ離れた現場の住宅街には、事件から4日後、椋本さんの自宅玄関前に多くの花が手向けられ、近隣住民や知人たちの深い悲しみがうかがえました。
伊万里市内の閑静な住宅街にある被害者宅の玄関先に手向けられた花束
友人たちが語る被害者・椋本舞子さんの人柄
突然の悲劇に見舞われた椋本舞子さんを知る友人や近隣住民は、一様に彼女の人柄を惜しむ声を上げています。事件後、椋本さんの葬儀を終えたばかりの友人たちは、飼い猫のルルの安否を心配しながら、彼女の死を悼みました。
友人の一人によると、椋本さんの母親は葬儀に参列していましたが、数年前に父親を亡くしており、家族仲は非常に良かったとのこと。特に姉とは深い絆で結ばれていました。椋本さんは誰からも好かれる明るい性格で、多くの友人に恵まれていました。
「舞子さんとは飲み友達でした。バーや宅飲みでよく集まり、カラオケではマイクを離さず、椎名林檎などを歌ってみんなを盛り上げるムードメーカーでした」と友人は振り返ります。また、彼女は中国江西省景徳鎮市の「景徳鎮陶瓷大学」で日本語講師を務めており、「中国での仕事は楽しい」と語っていたといいます。生徒たちとカラオケに行くこともあったそうです。
別の10年来の知人も、「彼女は明るくて、誰からも好かれる人でした。言うべきことははっきりと言う強い女性でした」と語り、その人柄を称えました。母親が深いショックを受けて、話ができる状態ではないことからも、突然の悲劇が周囲に与えた影響の大きさがうかがえます。
容疑者ダム・ズイ・カンと周辺環境
この凄惨な事件が起きた椋本さんの自宅からわずか約50メートルという至近距離に、ダム・ズイ・カン容疑者が住んでいた平屋の瓦屋根の家があります。容疑者は技能実習生寮で生活しており、寮の横には8台の自転車が停められていました。
確認された自転車の中には、容疑者の勤務先である食品加工工場の名前が印刷されたシールが貼られ、ベトナム人風の名前が書かれており、「カン」という名前の自転車も確認されました。容疑者が事件当日、休日出勤をしていたという事実と、その後に強盗に及んだとされる経緯は、捜査の重要な焦点となっています。
今回の事件は、外国人技能実習生が関係する犯罪として、社会に大きな波紋を広げています。
事件の全容解明と動機の究明が強く求められています。地域住民は不安を抱えながらも、一刻も早い真相究明と再発防止を願っています。