静岡県伊東市の田久保眞紀市長が、学歴詐称疑惑の渦中にあるにもかかわらず、7月31日に記者会見を開き、かつて表明していた辞職を撤回すると宣言した。この突然の翻意に対し、世間からは批判の声が相次ぎ、市民の不信感は高まるばかりだ。
伊東市長の学歴詐称疑惑、その経緯
一連の疑惑は、6月上旬に市議会に届いた投書が発端となった。「市長の経歴は虚偽である」と指摘された田久保市長は、市の広報誌や選挙資料などに「東洋大学法学部卒」と記載していた。しかし、大学側の回答により、実際には除籍処分となっていたことが判明。これを受け、伊東市議会は真相解明のため百条委員会を設置し、市長に対し卒業証書の提出を求めたが、市長はこれを拒否し続けた。この問題が深刻化する中、7月7日には市議会で辞職勧告決議が全会一致で可決され、田久保市長は一度は辞意を表明。市長選への再出馬の意向も一時示していた。
「市民の声」を理由に続投宣言
ところが、7月31日夜に開かれた記者会見で、田久保市長は驚くべき転換を見せた。会見の冒頭で「市民の皆様には何度お詫びを申し上げてもまだまだお詫びはしきれない」と深く謝罪した上で、突如として続投の意向を表明したのだ。市長は、その理由として「“頑張ってほしい。負けないでほしい。最後までやり遂げろ”といった、多くの激励の言葉を市民の皆様から頂いた」ことに言及。さらに、「改革すべき事柄、実に多く山積みする問題。その改革への道はまだ本当に始まったばかりである」と述べ、市政の課題解決のために続投が必要であると強調した。
学歴詐称疑惑の渦中にある伊東市長、田久保眞紀氏。辞職撤回を表明し、批判を浴びる。
疑惑解明拒否と高まる不信感
この会見には、市長の代理人弁護士も同席し、問題となっている卒業証書について「押収は拒絶する方向」との姿勢を明らかにした。弁護士は、仮に強制捜査となった場合でも差し押さえは「許されない行為」であるとする法的見解を示し、徹底した防衛姿勢を強めている。市長は過去に市議会幹部に「卒業証書」を一瞬だけ提示したとされるが、内容の確認が困難ないわゆる「チラ見せ」対応だったため、証拠としての信頼性には依然として疑念が残されている。
辞意の撤回と、疑惑の具体的な説明が不十分なまま続投を宣言したことに対し、インターネット上では憤りの声が急速に広がっている。「正気なのか…?」「自分の課題を一つずつ解決していく意思も能力もない。後は野となれ山となれの無責任人物」「どれだけ市民を裏切り続ければ気が済むのか?応援の声の何倍も批判の声があるのに耳に入らないのか?」「責任を取るべき立場の人が責任を取ろうとしない、根本的な部分で腐っていると思います」「大学卒業も自分で言ったことも何一つやり遂げない」など、厳しい批判が殺到している状況だ。
真相は不透明なまま、伊東市民の不安と不信感は募るばかりである。