在日韓国大使館の公使が、不在の大使の代わりに日本の閣僚と会談し、意見を交わすことは果たして可能だろうか。ある首相官邸幹部にこの問いを投げかけた際、「容易ではないこと」との返答があった。また、自民党の国会議員からも同様の質問に対し、「大使ではない公使が有力政治家と単独で会うのは難しいだろう」という見解が示された。これは、相手の「格」を重んじる日本の慣行からすれば当然の認識である。韓国を代表する全権を付与された駐日特命全権大使と公使では立場が異なる以上、日本側を咎める話ではない。しかし、この現状が、現在激動する日本の政局において、韓国の国益にどのような影響を及ぼすのかが問われている。
激動する日本政局と「7月の変」の予兆
現在、日本の政界はかつてない大混乱に直面している。その震源は、先の参議院選挙における自民党の惨敗、そしてそれに続く石破茂首相の辞任を巡る一連の問題だ。7月23日、石破首相自身は取材陣に対し「引き続き総理の職を遂行したい」と語ったにもかかわらず、翌日の読売新聞は政府・与党幹部の複数の証言を引用し、一面トップで「石破首相が退陣する」と報じるという、本人の公式発言よりも匿名の周辺人物の談話が先行する異例の事態が生じている。さらに、「女の安倍」とも称される高市早苗・元経済安全保障担当大臣が次期首相候補に浮上しており、ようやく正常化の兆しを見せていた韓日関係が再び逆戻りする危険性も高まっている。
緊迫する日本政局と韓日外交の現場の象徴的なイメージ
国益を揺るがす駐日韓国大使の突然の帰国
日本の政局がこのように「カオス」と化している緊迫した時期にもかかわらず、最前線で情報収集を行い、韓日関係の今後の動向について深く洞察し、本国に正確な報告を行うべき駐日韓国大使は、現在東京に不在である。韓国政府の帰国指示に基づき、朴喆熙(パク・チョルヒ)駐日大使は7月14日に帰国した。朴大使は、石破首相や林芳正官房長官といった現政権の要人だけでなく、石破退陣論を主導する旧安倍派とも近い関係にあった。日本情勢の把握が極めて重要かつ困難な今、石破首相と反石破陣営の間を行き来し、精緻な情報と分析を本国へ報告すべき人物が、その場から消えてしまったのだ。
新政権が前政権の人事を交代させること自体は咎められない。しかし、「日本政局の7月の変」が明確に予告されていた状況下で、後任大使も決定しないまま現大使を帰国させるという措置は、果たして韓国の国益に本当にかなったものだったのだろうか。日本の政界では、約1カ月も前から「自民党惨敗とその後の石破退陣シナリオ」が広く囁かれていたのである。
空白が招いた機会損失:関税政策フォーラムの事例
関税問題に関しても、駐日大使の不在がもたらす影響は顕著に現れている。7月26日に東京の早稲田大学で、在日韓国大使館が韓国経済学会・日本経済学会と共同で開催した「トランプ米政権の関税政策に対する韓日が取るべき対応とそのための連携」と題されたフォーラムがその一例だ。このフォーラムは、関税率15%で妥結した日本から学ぶべき点が多数ある、重要な情報交換の場となるはずだった。しかし、日本側から出席したのは経済学者のみで、肝心の経済部局の官僚の姿はなかった。もし駐日韓国大使がその場に駆け付けていれば、日本の官僚側の参加も促され、状況は異なっていたかもしれない。韓国大使の空席がもたらす影響は、ソウルの人事権者が考えている以上に広範で深刻なものだったと言える。
李在明大統領の発言との乖離、問われる人事の妥当性
李在明(イ・ジェミョン)大統領は、当選後初めての国務会議(閣議に相当)において、前政権の閣僚たちに対し、「我々は皆、国民から委任された業務を行う代理人」であるとし、「少し居心地が悪いだろうが、公職にある間くらいはそれぞれ最善を尽くしてもらえればと思う」と述べた。この言葉は、少なくとも今回の駐日大使の件には当てはまらなかった。最も重要な時期に生じたこの外交上の空白と、それに伴う国益上の損失を、一体どのように補填していくのだろうか。