東京ディズニーリゾート、夏の集客に苦戦:猛暑とアプリ課題、新エリア効果は?

東京ディズニーリゾート(TDR、千葉県浦安市)は、新エリアの開業にもかかわらず、2024年4~9月期の入園者数が新型コロナウイルス禍以降初めて減少に転じ、夏の集客に苦戦しています。運営会社のオリエンタルランド(OLC)によると、記録的な猛暑や公式アプリ導入による一部の煩雑さが、顧客満足度と入園者数の低下を招いている可能性が指摘されています。

東京ディズニーリゾートのシンボルであるシンデレラ城と多数の来園者東京ディズニーリゾートのシンボルであるシンデレラ城と多数の来園者

記録的猛暑がもたらす影響

7月上旬、最高気温が30度を超える猛暑の中、東京ディズニーランドを訪れた多くのゲストからは「汗が止まらない」「焦げそう」といった声が聞かれました。アスファルトの照り返しが強く、パーク内は日陰が少ないため、歩くだけで汗が止まらない状況です。日傘を差しても暑さには勝てず、人気アトラクションと見間違えるほどの長蛇の列がレストランの室内席にできていました。涼しい場所を求めるゲストの行動が、テラス席の空席と室内席の満席という現象を生み出しています。

新エリア開業と入園者数の現状

オリエンタルランドは、2024年度の年間入園者数を約2760万人と発表し、前年度からほぼ横ばいの見通しを示しました。しかし、2024年4~9月期の入園者数は1220万人と、前年同期比で2.4%減少。テーマパーク事業の売上高も前年同期比では増加したものの、想定を7.4%下回る約2390億円にとどまりました。これはコロナ禍による外出自粛の影響がなくなって以来、4~9月期としては初めての入園者減少となります。同社は旅行需要の減少や猛暑の影響が想定よりも大きかったと分析しています。特に、約3010億円を投じて6月に東京ディズニーシーにオープンした新エリア「ファンタジースプリングス」は、「アナと雪の女王」など人気コンテンツのアトラクションを4つ導入しましたが、上半期全体で見ると、パーク全体の入園者数減少を食い止めるには至りませんでした。

オリエンタルランドの対策と課題

年々厳しさを増す猛暑が集客を阻む要因となる中、オリエンタルランドは暑さ対策に力を注いでいます。高橋渉社長は「猛暑は私どもがどうこうできるものではなく、ずっと暑いと認識している。その中でも、ゲストが快適にお過ごしできるように考えている」と述べ、適応への意欲を示しています。具体的な対策として、ディズニーランドでは7月2日から、大量の水を広範囲にまきちらす新パレード「ベイマックスのミッション・クールダウン」を開始。このパレードは1日3回、各約35分間開催され、夏の暑さを緩和するための主要な取り組みの一つとなっています。今後は、猛暑への対応とアプリの利便性向上を両立させ、顧客満足度の回復と集客力強化を図ることが重要な課題となります。

東京ディズニーリゾートは、気候変動がもたらす新たな課題に直面しており、快適なパーク体験を提供するための革新的な解決策が求められています。

参考資料