2025年夏、記録的猛暑の背景:気象予報士が語る「高気圧二枚重ね」と「海洋熱波」の脅威

2025年の日本列島を襲う未曾有の猛暑は、連日の40度超えを記録し、各地で「災害級の暑さ」となっています。特に群馬県桐生市では41℃にも達する可能性が指摘され、その異常な暑さの背景には何があるのでしょうか。本記事では、気象予報士の専門的な視点から、この異例の2025年夏の猛暑の原因とメカニズムを詳細に解説します。

2025年夏、日本列島を襲う記録的猛暑の様子を示す気象関連画像。2025年夏、日本列島を襲う記録的猛暑の様子を示す気象関連画像。

異常な「40度連発」の記録:気象予報士が語る30年の変化

フジテレビの三井良浩シニア気象プロデューサーは、30年の予報士歴で「これまで経験のないような暑さ」と警鐘を鳴らしています。30年前には東京で35度を超える日がほとんどなかった年もある中、近年では年間20回以上が常態化し、40度も当たり前のように観測されるようになったと指摘。これは気候の変化を如実に物語っています。

直近のデータでは、7月24日以降、12日連続で39度を超える最高気温を記録。さらに、30日からは4日連続で40度を超過する状況が続いています。特に兵庫県丹波市柏原では、国内歴代最高を0.1度更新する41.2度を観測するなど、まさに「災害級の暑さ」が列島を覆っています。

猛暑を招く「高気圧の二枚重ね」と「地球温暖化」の深刻な影響

2025年の夏がこれほどまでに暑い主要因の一つは、「高気圧の二枚重ね」です。チベット高気圧と太平洋高気圧という二つの高気圧が日本列島の上空で重なり合うことで、上空の空気が圧縮され、地上に下降する際に気温が急激に上昇する「断熱圧縮」が起きています。この強力な高気圧の配置が、記録的な猛暑をもたらす背景にあるのです。

また、太平洋高気圧が日本の真上に居座り続けることで、降水量が極端に少ない「干ばつに近い状態」が発生。地面からの水分の蒸発が少なくなり、気温の上昇をさらに助長しています。

そして、根本的な原因として「地球温暖化」の影響が挙げられます。これまで、海が膨大な熱を吸収する役割を担ってきましたが、近年では海水の温度上昇が著しく、特に「海洋熱波」と呼ばれる現象が頻発しています。これにより、海が熱吸収の限界に達し、大気中の熱をこれ以上抑えきれなくなり、空気自体の温度が温まりやすくなっていると考えられています。

まとめ:複合要因が引き起こす未曽有の猛暑への警戒

2025年夏の日本の猛暑は、高気圧の特殊な配置と、干ばつ状態、そして地球温暖化による海洋熱波という複数の要因が複合的に作用した結果です。気象専門家が「経験のない暑さ」と語るように、私たちは新たな気候変動の時代に直面しています。この現状を理解し、今後の気候変動への適応と、熱中症への厳重な警戒が不可欠です。

参照元:FNNプライムオンライン