ケニアを拠点に活動し、現地の日常やケニア人とのユニークなコント動画などを発信するYouTubeチャンネル「さとこ国立公園」を運営する佐藤孝祐氏。彼のチャンネルは、ケニア人メンバーが日本のインターネットミームを再現するショート動画や、「初めてカップ麺を食べるケニア人の反応」といったリアクション動画をきっかけに注目を集め、2025年8月現在、チャンネル登録者数は30万人を突破しました。ワールドワイドな視点から活動を続ける佐藤氏に、ケニアでのリアルな生活と、そこで得た気づきについて話を聞きました。
ケニアへの興味と日本再発見のきっかけ
佐藤氏がケニアに興味を持ったのは、幼少期の経験が大きく影響しています。彼の両親が以前からアフリカでボランティア活動を行っており、12歳の時にはアフリカからのホームステイを受け入れるなど、幼い頃からアフリカ文化に触れる機会が多くありました。しかし、大学2年生でタンザニアにボランティアとして滞在した際、現地でのインフラの不便さに直面します。日本に帰国した瞬間、改めて日本の暮らしがいかに恵まれているかを痛感し、「外に出てみないと何も分からない」という思いを強くしました。この経験は、彼にとって日本の良さを再発見する貴重な機会となりました。その後、教員免許を取得しますが、教職に就く前に自身の視野を広げたいと考え、コロナ禍でボランティア募集が停止される中、父親の知人が運営するNGOに大学卒業後から1年間お世話になることを決めました。
YouTubeチャンネル「さとこ国立公園」を運営する佐藤孝祐氏(左)と、動画に登場するケニア人メンバーのたけしさん。ケニアでの日常生活や異文化交流の様子を伝えている。
ケニアでの生活がもたらした自己変革
ケニアでの海外生活は、佐藤氏の心境に大きな変化をもたらしました。彼はケニアで、「自分は自由でいていいんだ」という新たな自己を発見したと言います。日本でいかに自分を抑えて生活していたかを認識させられたのです。良くも悪くも、ケニアの人々は自由奔放で、自分の意見を率直に表現する傾向があります。この環境が、佐藤氏自身の性格には非常に合っていたと語ります。ケニアでの刺激的な日々の暮らしの中で、「本当に自分は教員になりたいのか?」と自問するようになり、「もっと自分が主人公でいたい」という強い願望が芽生えました。変化の激しいケニアでの生活は毎日が新鮮で楽しく、静かで安全な日本よりも、波乱に富んだケニアの日常の方が自分に合っているのではないかと感じるようになったのです。
佐藤孝祐氏のケニアでの挑戦は、単なる海外移住に留まらず、自身の価値観や生き方を見つめ直す機会となりました。日本の利便性を再認識しつつも、ケニアの自由な風土の中で自己を解放し、「自分が主人公」となる道を選んだ彼の物語は、海外での暮らしや異文化交流に関心を持つ人々にとって、大きな示唆を与えることでしょう。
参考文献:
- オリジナル記事: Yahoo!ニュース(文春オンライン)「ケニアに移住した日本人YouTuber・佐藤孝祐氏が明かす、日本での息苦しさ「もっと自分が主人公でいたい」」