高市早苗氏、自民党総裁選への道険し 旧安倍派の支援と「ステルス作戦」の内幕

自民党内で政局の行方が注目される中、石破茂首相(68)が続投か退陣かで揺れ動く本音が垣間見える一方で、“保守復権”を掲げ次期総裁選への出馬意欲を示す高市早苗前経済安保相(64)もまた、党内で苦境に立たされている。首相自身の心境については前編で報じられたが、本稿では高市氏を取り巻く現状と、その打開策としての「ステルス作戦」に焦点を当てる。

総裁選を巡る憶測が飛び交う中、真意が注目される石破茂首相総裁選を巡る憶測が飛び交う中、真意が注目される石破茂首相

裏金問題と高市氏の推薦人:旧安倍派の影響

高市氏の総裁選出馬において、その推薦人構成が大きな課題となっている。「高市氏の推薦人に名前を連ねていた20名中16名が、裏金問題の震源地である旧安倍派の所属議員です」と政治部デスクは指摘する。さらに、昨年の総選挙と今年の参院選を経て、このうち8名が議席を失ったことが、高市陣営にとって追い打ちとなっている。

現状、高市氏が安定的な支援を期待できるのは、辛うじて議席を死守できた旧安倍派の一部に限られている。これは、派閥の瓦解と裏金問題による党内の力学の変化を如実に示している。

「安倍派4人衆」の動向と高市氏への支持拡大の課題

旧安倍派の主要メンバーの動向も注目される。去る7月23日には、東京・赤坂の中華料理店に萩生田光一元政調会長(61)、松野博一前官房長官(62)、西村康稔元経済産業相(62)、世耕弘成前党参院幹事長(62)が集結。かつて「安倍派5人衆」とも呼ばれた元派閥幹部のうちの4人が「首相交代で一致」したと報じられた。

しかし、政治部デスクは「少なくとも、彼ら“旧安倍派4人衆”とその周辺は高市氏の支援に回るはず」としつつも、「旧安倍派はすでに瓦解しており、前回もかなりの数の中堅・若手が小泉進次郎農水相(44)や小林鷹之元経済安保相(50)の陣営に加わっています」と、高市氏への支持が広がりに欠ける現状を分析する。旧安倍派の結束が失われた今、その支援だけで総裁選を戦い抜くのは困難な状況だ。

党内の反発と「ステルス作戦」の必要性

加えて、高市氏を巡る党内の空気には逆風も吹いている。「旧安倍派の萩生田氏らは、裏金問題で憂き目を見た意趣返しとばかりに“石破おろし”を主導しています。その彼らが高市氏を担いで復権を狙う姿に、党内の一部では嫌気が広がっています」と前出のデスクは語る。

とりわけ、裏金問題で離党勧告を受け離党中の世耕氏がテレビに頻繁に出演し、復党に意欲を示していることに対しては、党内の反発が少なくないという。このような状況を受け、高市陣営は「これ以上、党内に無用な反発を広げないために、派手には動かず、議員会館や議員宿舎で内々に集まるという“ステルス作戦”を取っているようです」と、静かに支持を固める戦略に転換している。

結論

石破首相の去就が不透明な中、次期自民党総裁の有力候補と目される高市早苗氏が直面する課題は複雑だ。裏金問題に端を発する旧安倍派の影響力低下、党内の根強い反発、そしてそれらに対処するための「ステルス作戦」は、高市氏が総裁選を勝ち抜く上で乗り越えるべき重要な局面を示している。今後の政局は、これらの内部事情がどのように作用し、新たなリーダーシップが生まれるかにかかっている。


参照元:
https://news.yahoo.co.jp/articles/91b2de35b281b57183bf7b224025064bc906e1cc