トランプ氏、ウクライナ領土返還を要求へ:プーチン氏との会談焦点

米国のドナルド・トランプ大統領は11日、アラスカ州で15日に予定されているロシアのウラジーミル・プーチン大統領との会談で、ロシアが現在制圧しているウクライナ領の一部返還を求める考えを明らかにしました。これは、「領土の交換」をウクライナ停戦交渉の主要な焦点とするトランプ氏の姿勢を改めて示すものであり、ウクライナ側にも一定の妥協を促す意図があるとみられています。この米ロ首脳会談は、停滞する和平交渉に新たな展開をもたらすかどうかが注目されます。

トランプ氏はホワイトハウスでの記者会見で、停戦実現のためにはロシアとウクライナ間で「土地の交換が行われる」と強調しました。さらに、「我々はロシアが占領したウクライナの重要な領土の一部を取り戻そうとしている」と述べ、「ウクライナは広大な海を奪われた」と訴えました。これは、ウクライナ南部に面する黒海やアゾフ海の重要性を念頭に置いた発言と考えられます。

トランプ氏の「領土交換」提案の詳細と過去の経緯

米政策研究機関「戦争研究所」は、ウクライナにとって農産物や鉱物の輸出ルートとして黒海へのアクセスが極めて重要であると指摘しています。この見解に基づき、トランプ氏がプーチン氏に対し、黒海につながる川が通るヘルソン州やザポリージャ州を巡り、何らかの譲歩を要求する可能性が高いと分析しています。過去には、米国がロシアに対し、現在露軍が占拠しているザポリージャ原子力発電所を米国の管理下に置くことを提案しましたが、これはロシア側に拒否された経緯があります。トランプ氏は今回の会談について、「プーチン氏が何を考えているのか探りたい」と述べ、「最初の2分間で取引が可能かどうかわかるだろう」と、交渉への期待と意欲を示しました。

ウクライナ停戦交渉の鍵を握るトランプ米大統領とロシアのプーチン大統領。ウクライナ停戦交渉の鍵を握るトランプ米大統領とロシアのプーチン大統領。

ロシアとウクライナ、それぞれの立場と会談後の展望

報道によれば、プーチン氏は「完全な停戦」に応じる条件として、ウクライナが東部ドンバス地方(ドネツク、ルハンスク両州)から軍を撤退させることを求めています。一方、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、領土の割譲には一切応じない姿勢を明確にしており、この点が停戦交渉における大きな障壁となっています。トランプ氏は、停戦にはロシアとウクライナの双方が領土面で歩み寄る必要があると主張しており、ゼレンスキー氏の強硬な姿勢に対し、「少し不快だ」と不満を漏らしました。

ウクライナ南部、特に黒海へのアクセスが重要視される地域。ウクライナ南部、特に黒海へのアクセスが重要視される地域。

15日の会談には、当初ゼレンスキー氏も招かれる可能性が取り沙汰されましたが、トランプ氏はこれを否定し、会談終了後に電話でゼレンスキー氏に内容を報告すると述べました。また、トランプ氏は今後、プーチン、ゼレンスキー両氏による直接会談が行われるべきだとの考えも示しており、「彼らが必要とするなら私もそこにいるだろう」と、将来的な仲介役としての役割にも意欲を見せています。

結論

今回のトランプ氏とプーチン氏の会談は、ウクライナ紛争の解決に向けた国際的な努力の中で重要な位置を占めます。トランプ氏が提唱する「領土交換」という案は、ロシアの占領地、特に黒海アクセスに関する地域の返還を目指すもので、ウクライナの主権と領土保全、そして経済的利益に深く関わる問題です。しかし、ウクライナ側が領土割譲を拒否する姿勢を崩さない中、停戦への道のりは依然として複雑であり、双方の歩み寄りが不可欠となります。今回の会談が具体的な進展につながるか、あるいは新たな交渉の道筋を示すことになるか、今後の国際情勢から目が離せません。

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