北海道の知床半島に位置する羅臼岳(標高1660メートル)で発生したヒグマによる登山客襲撃事件において、行方不明となっていた20歳代の男性の遺体が15日、現場近くの山中で発見されたことが北海道警察によって発表されました。遺体は損傷が激しく、道警はヒグマに襲われて死亡したと断定し、詳しい状況を調べています。全国各地でヒグマによる人身被害が相次ぐ中、今年の犠牲者はこれで4人目となります。
発見された遺体の詳細と身元特定
道警の発表によると、遺体で見つかったのは東京都墨田区向島に住む会社員の曽田圭亮さん(26)です。曽田さんの遺体は15日午後1時35分頃、襲撃現場から南西に約200メートル離れた斜面で発見されました。発見現場の近くには、曽田さんの名前が書かれたカード入りの財布が落ちていたほか、血の付いたTシャツ、帽子、リュックサック、腕時計なども散乱しており、遺棄された状況から襲撃の激しさがうかがえます。
北海道斜里町での羅臼岳ヒグマ襲撃事件捜索活動で、警察犬が現場を慎重に確認する様子
襲撃状況と捜索活動の展開
曽田さんは14日午前5時頃、友人の20歳代男性と共に羅臼岳に入山しました。襲撃は下山中の同日午前11時頃に発生したとみられています。ヒグマに遭遇した曽田さんは抵抗を試みたものの、登山道脇の茂みに引きずり込まれ、そのまま行方が分からなくなっていました。
この重大なヒグマ被害を受け、道警などは15日午前5時半頃から、警察官や地元のハンターら計16人に加え、警察犬2頭を投入して捜索活動を再開しました。スマートフォンの位置情報をもとに、ドローンも使用して、曽田さんが襲われた標高550メートル付近の地点を集中的に捜索していました。
襲撃したヒグマの駆除
曽田さんの遺体が発見された付近では、捜索中にヒグマの親子3頭が目撃され、ハンターによって3頭全てが駆除されました。道や関係機関は、これら駆除されたヒグマが曽田さんを襲った個体であるかどうかについて、今後詳しく調査を進める方針です。今回の羅臼岳での登山客死亡事件は、各地で増加傾向にあるクマによる人身被害の深刻さを改めて浮き彫りにしています。
羅臼岳での登山客遭難を受け、早朝から捜索に出発するハンターや関係者たち
今回の悲劇は、北海道の豊かな自然環境と共存する上でのリスク管理の重要性を再認識させます。登山を行う際には、常にヒグマの出没情報に注意し、適切な対策を講じることが求められます。
参照元:
Yahoo!ニュース