今年8月、日本マクドナルドが「ポケットモンスター」(ポケモン)とコラボレーションしたハッピーセットの販売を開始し、大きな話題を呼びました。特に、期間中に人気の「ポケモンカード」が特典として付属されることが発表されると、その人気は爆発的に過熱。しかし、この争奪戦は予期せぬ混乱と社会的な批判を巻き起こし、マクドナルドの対応が改めて問われる事態となりました。
マクドナルドに集中した批判:転売とフードロス問題
ハッピーセットのポケモンカード人気は、発売直後から店舗での混乱を招きました。一部の店舗では、いわゆる“転売ヤー”による大量購入が報告され、SNS上では外国人と見られる転売ヤーが大量のカードを入手した様子を投稿する例も相次ぎ、批判の的となりました。結果として、多くの消費者がハッピーセットやカードを入手できない事態が発生。店舗によっては、販売開始日のうちにカードが品切れとなる異常事態に発展しました。
今回の騒動でマクドナルドが最も強く批判されたのは、カードや玩具だけを目的とし、食べ物を一口も食べずに廃棄する行為が相次いだことです。これらの状況を捉えた画像がSNSで拡散されると、「フードロス削減」を掲げるマクドナルドの企業姿勢と矛盾すると指摘され、批判は一層過熱しました。これに対し、マクドナルドは8月11日に公式ホームページで謝罪文を掲載。しかし、SNS上の批判は収まらず、かえって火に油を注ぐ結果となりました。それは、マクドナルドが限定商品の販売で同様の混乱を招き、謝罪するのが一種の「風物詩」となっているからです。記憶に新しいところでは、今年の5月にも人気キャラクター「ちいかわ」とのコラボレーションで同様の騒動が発生し、炎上していました。
マクドナルドのハッピーセットに付属する人気ポケモンカードが多数積み重ねられた様子
現場を襲った混乱と店員の苦労
消費者の間では、度重なる騒動にもかかわらず、マクドナルドが有効な対策を講じていないと映っても仕方がない状況です。SNS上では「謝罪何回目だよ」「いいかげんにしろ」といった諦めにも似たコメントが後を絶たず、転売ヤー以上にマクドナルドの販売手法そのものに問題があるとの声も目立ちました。
一方で、店舗の最前線で対応にあたる店員を擁護する声も多数投稿されました。実際に、ハッピーセットの爆発的な需要に対応した店員の苦労は相当なものだったと推察されます。筆者自身が取材した店舗でも、筆者が受け取ったハッシュポテトはぐじゃぐじゃで、ドリンクの氷が溶けているほど、厨房は通常時とは異なる大混乱に陥っていました。
マクドナルドには詳細なマニュアルが存在するものの、ハンバーガーの製造工程には焼く、挟む、包むなど、いまだ人の手に頼る部分が多く、思ったほど機械化が進んでいないのが実情です。さらに、商品点数が多いことも提供の手間を増やしています。これは通常時は効率的に機能しますが、週末などのアルバイトが集まりにくいタイミングで、今回のようなコラボ商品に客が大量に殺到すると、途端にオペレーションが破綻し、危機的状況下ではマニュアルが十分に機能しない状況に陥ることが浮き彫りになりました。
長時間の待ち時間後に受け取った、ハッシュポテトが崩れドリンクの氷が溶けた状態のマクドナルドハッピーセット
今回のマクドナルド「ポケモンカード」騒動は、限定コラボ商品の過熱した需要が引き起こす転売問題やフードロスという社会課題、そして企業のオペレーションにおける課題と消費者の期待とのギャップを改めて浮き彫りにしました。マクドナルドが今後、これらの問題に対しどのような対策を講じ、消費者の信頼を回復していくのかが注目されます。
参考文献:
- Yahoo!ニュース: 「ポケモンカード」マクドナルドに批判が殺到…原因は“転売ヤー”だけではなかった(デイリー新潮)