SNS上で「十条駅前タワマン早くも廃墟化」という衝撃的な文言がタイムラインに流れ、多くの関心を集めています。東京都北区十条は、都内三大銀座の一つに数えられる十条銀座商店街を擁する、どこか懐かしい「下町」の風情が残る街です。そんな十条に突如として現れた39階建ての超高層タワーマンション『THE TOWER JUJO(ザ・タワー十条)』。果たして、その低層階に位置する商業施設「J&MALL(ジェイトモール)」は本当に「廃墟化」しているのでしょうか。その真偽を確かめるべく、筆者は先日、十条の地を訪れました。
十条駅の変貌:小さな駅と巨大なタワーの対比
長らく変わらぬ姿を見せてきた十条駅は、池袋からわずか2駅、10分とかからない距離にありながら、まるで地方の小さな駅舎のような佇まいを残していました。しかし、今回の訪問で最も目を引いたのは、その駅前広場の劇的な変貌です。かつては2階建て程度の商店が軒を連ねていた場所に、今や巨大なタワーがそびえ立っています。小さな駅と、そのすぐ隣に立つ圧倒的な存在感の高層ビル。この対比は、新旧が交錯する十条の現在の姿を象徴しているかのようでした。
十条駅前の再開発で誕生した高層タワーマンションと商業施設「J&MALL」の外観。SNSで囁かれる「廃墟化」の噂の真偽を現地調査する筆者撮影の様子。
「廃墟化」の真実:J&MALLの現状を徹底検証
SNSで話題の「廃墟化」の噂は、タワーマンションそのものではなく、その低層階に設けられた商業施設「J&MALL」に関するもののようです。現地を歩いてみると、1階部分は建物の周囲に沿って様々なテナントが展開しており、一見して「廃墟」とは程遠い活気が感じられました。松屋、バーガーキング、サーティーワンアイスクリーム、ファミリーマート、そして買取専門店など、マンション住民の利便性を考慮したであろう大手チェーン店が多く見受けられます。
しかし、注意深く観察すると、まだ開店前の店舗や工事中のテナントが目立ちます。外壁には「なか卯十条駅前店 8月28日オープン!!」といった掲示があり、隣のベローチェも7月末オープン(※筆者取材時)の準備が進められていました。これらの情報から、「J&MALL」はまだ全てのテナントが埋まり、完全に稼働しているわけではないことが明らかになりました。つまり、「廃墟化」というよりは、むしろ「開業間もない、あるいは段階的に開発が進められている途上にある」状態と言えるでしょう。
十条駅前「J&MALL」内のテナントの空き状況と、人々が憩うスペース。開業から時間が経つものの、まだ入居店舗が少ない現状を示す。
新旧が交錯する十条の未来
今回の現地調査の結果、「十条駅前タワマンが廃墟化している」というSNSの噂は、実態とは異なる誇張表現であることが判明しました。『THE TOWER JUJO』の低層部にある「J&MALL」は、確かにまだすべての区画が埋まっているわけではありませんが、着実に新たなテナントの誘致が進められており、活発な開発の途上にあります。十条は、昔ながらの下町の温かさと、現代的な再開発によって生まれる新しい利便性が融合しつつある過渡期にあると言えます。この地域が今後どのように変貌を遂げ、新旧が織りなす魅力的な街へと発展していくのか、その動向に注目が集まります。
参考文献
- Yahoo!ニュース: 十条駅前タワマン「早くも廃墟化」の真偽は?現地調査で見えた“新旧入り乱れる”街の姿 (https://news.yahoo.co.jp/articles/cbc8212dd143c77d253a67f2e16607b3a9a98daf)