ロシアの民間軍事会社ワグネルの創設者エフゲニー・プリゴジン氏が謎めいた航空機事故で死亡してから23日で2年。ウクライナ侵攻で存在感を高めたが、国防省と対立して反乱に失敗した。それでもワグネルの慰霊碑はロシア各地につくられており、「英雄」として愛国心の象徴にする動きもある。
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6月21日、ワグネルの拠点だったロシア北西部サンクトペテルブルクの郊外。深い緑が茂る墓地の中にあるプリゴジン氏の墓地を訪ねた。墓にはプリゴジン氏の像が立ち、その前に置かれた台には、プリゴジン氏の写真やワグネルのマーク、ロシア正教会の「イコン」(聖像)などとともに手紙が飾られていた。
「英雄の死を信じない。あなたは別の飛行機で、勝利に向けて飛び去ったに違いない」
墓の前には、小さなテントがあった。「2人態勢で24時間警備している。彼は我々にとって最も重要で、尊敬される人物だった」。中にいた男性に声をかけると、そう話した。自らもワグネルに志願し、戦闘員としてウクライナで戦ったという。
「彼は裏切り者には厳しかったが、常に公正だった。ワグネルは祖国のために戦った」
朝日新聞社