8月21日、上皇ご夫妻はご静養のため長野県軽井沢町を訪問されました。29日までの滞在中には、長年にわたり交流を深めてこられた大日向地区の開拓地へも足を運ばれる予定です。今年に入ってから仙洞御所を離れて地方に滞在されるのは初めてのことであり、公の場にお姿を見せられたのも新年の一般参賀以来、約7ヶ月ぶりとなります。ご夫妻にとって軽井沢は、出会いの場所であり、結婚後もご一家で過ごされた思い出深い地として知られています。
軽井沢でのご静養は、一時その実施が危ぶまれていました。上皇さまは今年5月に「無症候性心筋虚血」と診断され、7月中旬には投薬治療のため再度ご入院されるなど、ご体調が懸念されていましたが、昨年に続き今年も無事にご訪問が実現しました。21日の午後3時過ぎにJR軽井沢駅にご到着されたご夫妻は、手を取り合い、出迎えた地元住民や観光客に笑顔で手を振られました。上皇さまのお元気そうなご様子や、お二人の仲睦まじい姿に対し、インターネット上では「拝見するとほっとします」「軽井沢でゆっくりご静養ください」といった温かい声が多数寄せられました。
美智子さまの「愛用バッグ」に込められたメッセージ
ご夫妻の穏やかなご様子とともに、この日特に注目を集めたのは、美智子さまのファッションでした。紺色を基調とした洗練されたセットアップに、チェーンネックレスと花をモチーフにしたブローチを合わせられた美智子さま。その左手に持たれていたのは、M字型の金色金具がアクセントになった“ご愛用”の黒いハンドバッグでした。
上皇ご夫妻、軽井沢ご静養での笑顔のご様子。美智子さまはMOYNATの愛用バッグをお持ちです。
このハンドバッグは、フランスの老舗旅行鞄専門店「MOYNAT(モワナ)」の製品であると見られています。美智子さまはこのバッグを、2023年の軽井沢ご静養時にもお持ちでした。さらに遡ると、2022年6月に東京国立博物館で開催された沖縄復帰50年記念特別展「琉球」をご夫妻で鑑賞された際にも、同じものと思われるバッグをご使用になられていました。同ブランドの公式ECサイトでは現在、美智子さまがお持ちの型と同じ商品は見当たりませんが、販売当時は約3,600ユーロ(現在の日本円で約62万円)の値がついていたと報じられています。このバッグが今夏の軽井沢ご静養に合わせて新調されたものではなく、長年にわたり大切にお手入れされながら愛用されている点について、一部のSNSでも話題となりました。これは、ものを大切にする美智子さまのサステナブルなファッション哲学と、その品格を示すものと言えるでしょう。
皇室とサステナビリティ
美智子さまが、高価でありながらも長期間にわたって愛用の品を使い続けられる姿勢は、現代社会で重視されるサステナビリティ(持続可能性)の精神と深く通じるものがあります。流行に流されず、上質なものを手入れしながら長く使うことは、資源の無駄を省き、環境への配慮を示す行動に他なりません。皇室が国民に与える影響力を鑑みると、美智子さまのこのような選択は、私たち自身の消費行動やライフスタイルを見つめ直すきっかけにもなり得ます。
今回の軽井沢ご静養は、上皇ご夫妻の変わらぬ絆と国民への深い愛情を示すとともに、美智子さまのさりげないファッションからも、そのお人柄と時代に即した価値観が垣間見える貴重な機会となりました。