国連軍司令部は24日、今月19日に非武装地帯(DMZ)で建設および補修作業を行っていた北朝鮮軍兵士およそ30人が、軍事境界線(MDL)を越えて韓国側へ南下した事実を確認したと発表しました。この事態に対し、韓国軍は警告射撃を実施し、北朝鮮軍は北側へ引き返しました。
国連軍司令部の調査結果と警告射撃の詳細
国連軍司令部によると、MDL付近での作業中に北朝鮮軍が境界線を越えたことを確認。韓国軍は複数回の警告放送を行ったにもかかわらず、北朝鮮軍はMDL北側へ戻らなかったため、規定された警告射撃地点へ警告射撃を行わざるを得なかったと説明しています。今回の事態について、北朝鮮はDMZ内での作業活動を事前に通知していたと国連軍司令部は明かした上で、「誤解や偶発的事件のリスクを軽減するための事前通知と対話の価値を認識している」と述べ、北朝鮮側との対話の準備があることを強調しました。
2024年6月、北朝鮮軍兵士が前線地域で戦術道路の補強作業を行う様子。MDL越境に関連する北朝鮮側の活動を示す。
北朝鮮と韓国軍双方の声明
この事件に先立ち、北朝鮮軍総参謀部副総参謀長のコ・ジョンチョル陸軍中将は23日、「南部国境一帯で軍事的衝突を誘発する危険な挑発行為を直ちに中止すべき」との談話を発表。19日に韓国軍がMDL付近で作業中の北朝鮮軍に対し、12.7ミリ機関銃でおよそ10発の警告射撃を加えたことを明らかにしました。これに対し、韓国軍の合同参謀本部(合参)関係者は同日、「今月19日午後3時ごろ、北朝鮮軍が中部戦線の軍事境界線を侵犯し、警告射撃などの措置を取り、北朝鮮軍は北上した」と説明し、事実関係を認めました。ただし、合参の消息筋は「一度に30人が越境することはなかったと監視設備などを通して把握している」「特定の時点を基準にすると、南下した人員は最大で1桁」と補足し、越境した人数については北朝鮮側の発表と異なる見解を示しています。
まとめ
今回の北朝鮮軍によるMDL越境とそれに続く韓国軍の警告射撃は、朝鮮半島の緊張状況を改めて浮き彫りにしました。国連軍司令部が双方に冷静な対応と対話を促す中で、偶発的な衝突のリスクを最小限に抑え、地域の安定を維持するための努力が求められます。
参考文献
- 韓半島の停戦体制を管理する国連軍司令部、北朝鮮軍のMDL越境を公式確認=韓国 – Yahoo!ニュース
- 【写真】韓国の拡声器放送から流れるKpopに合わせて踊る北朝鮮兵 – 朝鮮日報日本語版