人気アニメ『ダンダダン』を巡る楽曲『Hunting Soul』と、X JAPANのYOSHIKI氏の間で持ち上がった著作権侵害疑惑は、日本のエンターテイメント業界に大きな波紋を広げました。YOSHIKI氏が自身の代表曲『紅』との酷似を指摘したことから始まった一連の騒動は、最終的にアニメ制作委員会とYOSHIKI氏双方の誠実な対応により円満に解決へと向かいました。しかし、この一件は、クリエイティブ作品における「オマージュ」と「著作権侵害」の境界線、そして著名人のパブリシティ権の重要性について、改めて社会に問いかける機会となりました。
『紅』酷似指摘から和解へ:YOSHIKI発言の経緯
騒動の発端は、2024年8月7日深夜に放送された人気アニメ『ダンダダン』第18話でした。このエピソードに登場したヴィジュアル系風バンド「HAYASii」が披露したハードなメタル調楽曲『Hunting Soul』に対し、翌8日、X JAPANのYOSHIKI氏が自身のX(旧Twitter)アカウントで反応。「何これ、X JAPANに聞こえない?」と、X JAPANの代表曲『紅』に酷似しているとの見解を示しました。さらにYOSHIKI氏は、「この制作チーム、事前に一言ぐらい言ってくれれば良いのに..」と不満を表明し、「弁護士達からも連絡がきた」と著作権侵害の可能性に言及。事態は一気に深刻化しました。
その後もYOSHIKI氏は、バンド名「HAYASii」が自身のラストネームや亡くなった父親の名前を連想させることにも触れ、「著作権や肖像権は色々な会社が動いているので任せているけど。この件は直接話う?」と、批判的な姿勢を続けました。最終的にYOSHIKI氏はこの一連の投稿を削除し、「対応は関係者に任せます」と表明しました。
人気アニメ『ダンダダン』の楽曲について著作権侵害の可能性を指摘したYOSHIKI氏
事態が動いたのは22日。『ダンダダン』のアニメ公式Xアカウントが声明を発表し、「事前に説明をしなかった」ことについてYOSHIKI氏へ謝罪しました。さらに、「本件についてはYOSHIKI様ともすでにお話をさせて頂いており、今回を契機に、未来に向けた創造的な取り組みを共に考えている所でございます」と、前向きな解決の方向性を示しました。この公式発表に対し、YOSHIKI氏も23日にXを更新。「ダンダダン製作委員会の誠実な対応に、心から感謝します」と謝意を述べ、「プロデューサーさんとのポジティブな会話で、コラボの可能性も含め、素晴らしい未来をファンの皆さんと築いていける気がしています!」と、円満解決と将来的な協力関係の可能性を示唆し、騒動は収束に向かいました。
騒動の背景:オマージュと著作権侵害の境界線
今回の騒動で特筆すべきは、『Hunting Soul』が有名ミュージシャンによって制作されたアニメのためのオリジナル楽曲であったという点です。バンドメンバーの見た目など、X JAPANを思わせる要素があったことから、多くのファンはこれを「オマージュ(敬意を表した模倣)」だと受け止めていました。そのため、YOSHIKI氏の指摘に対して疑問を呈する声も少なくありませんでした。『ダンダダン』側が公に謝罪する必要があったのかどうか、という点については専門家の間でも意見が分かれています。
企業の知的財産活動に詳しい友利昴氏は、今回のケースについて「公に謝罪する必要はなかった」との見解を示しています。友利氏の解説によると、この騒動には主に二つの法的側面があります。一つは『紅』の「著作権」、もう一つはYOSHIKI氏の「パブリシティ権」です。
著作権の観点からは、友利氏は「曲を聴き比べると具体的なメロディや歌詞など、作品の本質の部分がかなり違います。楽曲の作品として“類似しない”と言えると思います」と指摘しています。アニメ製作者や作曲担当者は、権利侵害にならないよう慎重に制作を進めていたことが伺えるため、この時点での許可取得は必須ではなかったと結論付けています。
一方で、「似ている」と一部で指摘されたギターのリフやイントロの「お祓いだー!」という雄叫びについては、その表現手法が著作権侵害に当たるかどうかが議論の焦点となります。また、バンド名「HAYASii」やキャラクターのビジュアルがYOSHIKI氏本人を想起させる可能性があり、これがパブリシティ権に触れるかどうかも重要な論点です。
終わりに
YOSHIKI氏とアニメ『ダンダダン』を巡る一連の騒動は、著作権やパブリシティ権といった知的財産権の重要性を改めて浮き彫りにしました。特に、クリエイティブな作品において「オマージュ」と「侵害」の境界線をどのように見極めるべきか、また、著名人のイメージや氏名が持つ価値をどう扱うべきかという倫理的・法的課題を提起しました。最終的な円満解決は、日本のコンテンツ産業における対話と相互理解の重要性を示しており、今後の「創造的な取り組み」への期待が高まります。日本ニュース24時間では、この問題のさらなる進展や、日本のコンテンツ産業における知的財産権に関する動向を注視してまいります。
参考文献
- 人気アニメ『ダンダダン』の楽曲酷似騒動、YOSHIKIが「著作権侵害の可能性」指摘で波紋も円満解決へ (Yahoo!ニュース)