北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記が10代の娘「ジュエ」氏と共に北京を訪問していることが確認され、国際社会の大きな注目を集めている。これはジュエ氏にとって初の公的な外遊同行であり、彼女が北朝鮮の次期指導者となる可能性についての憶測を急速に高めている。今回の北京訪問は、金王朝の未来を占う上で重要な転換点となる可能性を秘めており、その動向が世界の関心事となっている。
ジュエ氏、初の外遊同行と後継者としての注目
北朝鮮の金正恩総書記の娘「ジュエ」氏が、初の公的な外遊として父親に同行し北京を訪問した。韓国の情報当局は、ジュエ氏を2013年に米国の元バスケットボール選手デニス・ロッドマン氏が言及した娘だと見ている。彼女が公の場に初めて姿を現したのは2022年の大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射時で、今回の北京訪問では、装甲列車から降りた金総書記のすぐ後ろにその姿が確認された。米シンクタンク「スティムソン・センター」の北朝鮮専門家マイケル・マッデン氏は、ジュエ氏を「次期最高指導者の最有力候補」と評し、「外国の指導者らと交流する貴重な経験を積んでいる」と分析する。
金正恩総書記と娘ジュエ氏が北京で並んで歩く姿。後継者としての動向が注目される北朝鮮の要人訪問を示す。
広がる活動範囲と国際社会の分析
金正恩総書記自身は父親の故金正日総書記の外遊に同行した形跡がないが、金正日総書記は1950年代に故金日成主席と外遊経験がある。これに対し、推定13歳前後のジュエ氏は、今年5月にロシア大使館イベントで外交デビューを果たすなど、早期から政治・外交的な場に出ている。スティムソン・センターのレイチェル・ミニョン・リー研究員は、ジュエ氏の公の場への登場範囲が「軍事関連から政治・経済関連へと年々確実に広がっている」と指摘。これが後継に向けた動きならば「国際舞台でのデビュー」と見なされる可能性を示唆する。ただし、今回の同行だけで後継者と断定するのは時期尚早であり、北朝鮮メディアの報道が注目される。
金正恩総書記の子どもについては、国営メディアが2022年のICBM発射でジュエ氏を初めて公開するまで何も報じられておらず、他の子どもの情報は依然としてほとんど知られていない。男性優位の「金王朝」におけるジュエ氏の最終的な地位については疑問が残るものの、韓国の情報機関は現時点では最も有力な後継者だと考えている。
金正恩総書記の娘ジュエ氏が初の外遊に同行した今回の北京訪問は、単なる外交行事を超え、北朝鮮の未来、特に後継者問題を巡る国際的な関心を一層高めている。ジュエ氏の公的な活動範囲の拡大は、彼女が将来的に重要な役割を担う可能性を示唆するが、金王朝における最終的な地位は依然として不透明だ。国際社会は、今後もジュエ氏の動向と、北朝鮮国営メディアによるその報道を注視していくだろう。
参考文献
- ロイター通信 (Reuters)
- スプートニク通信 (Sputnik News)
- ヤフーニュース (Yahoo News)