中国が戦勝80周年を記念する閲兵式で中ロ朝の連帯を誇示した日、米国産特殊光ファイバーへの反ダンピング関税を発表した。この措置は、世界経済に影響を与える米中経済摩擦の新たな局面を示唆している。
中ロ朝の結束を誇示:戦勝80周年閲兵式とその背景
9月3日、中国は戦勝80周年閲兵式を北京で開催し、習近平国家主席、ロシアのプーチン大統領、北朝鮮の金正恩国務委員長が一堂に会した。これは1959年以来66年ぶりとなる歴史的連帯の誇示であり、国際社会における中ロ朝の結束を鮮明に示した。
中国、戦勝80周年閲兵式にて習近平主席、プーチン大統領、金正恩委員長が並び、中ロ朝の連帯を強調
米国産光ファイバーへの高額反ダンピング関税
同日午後、中国商務部は米国産「カットオフ波長シフト・シングルモード光ファイバー」に対し、2028年4月まで最大78.2%の反ダンピング関税を課すと発表した。5G通信に不可欠なこの光ファイバーにおいて、中国は世界最大の輸入国の一つである。コーニング(37.9%)、OFS Fitel(33.3%)、ドラカ・コミュニケーションズ(78.2%)といった主要米国企業が影響を受ける見通しだ。
半導体制裁への対抗策か:高まる米中緊張
今回の措置は、米国との追加関税交渉を控えた力比べ、あるいは対中半導体追加制裁への警告と解釈されている。今年3月には、中国が米国「10+10%関税引き上げ」に対し農畜産物への報復関税を示唆。さらに8月末には米商務省がサムスン電子、SKハイニックス、インテル、そしてTSMCの「認証済み最終ユーザー(VEU)」資格を取り消し、中国への最先端以外の半導体装置輸出規制を強化した背景がある。
中国による戦勝記念式典での政治的連帯の誇示と、米国製品への反ダンピング関税は、米国の経済的・技術的圧力に対する明確な対抗姿勢を示している。これにより、世界経済の安定に影響を及ぼす米中間の緊張は、今後一層激化する可能性が高い。