自民党内で石破茂首相(58)への退陣圧力が強まる中、麻生太郎最高顧問(84)が総裁選の前倒しを求め、党内に波紋を広げています。これに対し、平将明デジタル相(58)が5日配信のABEMA報道番組「Abema Prime」に出演し、麻生氏の行動に対し痛烈な皮肉を込めた発言で批判を展開しました。党内派閥解消の動きがあったにもかかわらず、再び浮上する旧態依然とした政治手法に、国民の注目が集まっています。
石破首相への退陣圧力と解散の可能性
番組冒頭、退陣圧力が強まる石破首相が、総裁選の前倒しが決定する前に衆議院を解散する可能性が報じられたことについて問われた平氏は、「可能性としてというか、技術的にできないか、と言えば(解散は)できますが、解散権とか、それはアンタッチャブルなので、私一応、閣僚なので、ノーコメントということで」と述べるに留め、現職閣僚としての立場から明言を避けました。
さらに、総裁選が前倒しになった場合、石破首相が出馬したら応援するかとの問いに対しては、「(石破首相が)出るか出ないか分からないですけど、今、私は石破内閣の閣僚なので、何があっても総理を全力で支えるという立場」と強調し、石破政権を支える姿勢を明確にしました。
麻生氏の「総裁選前倒し」要求への痛烈な皮肉
麻生氏が自身の派閥である麻生派の研修会で総裁選の前倒しを求め、鈴木馨祐法相も同様の表明をしたことについて意見を求められると、平氏は苦笑しながらも本音を語りました。「閣僚(の立場)を離れて…閣僚はまな板の鯉なので、それがいいか悪いかは言えませんが、イチ自民党議員として言えば、『自民党、出直そう』と言って派閥解消しましょうって、やったわけですよね。でも今、麻生派だけ残っていて、しかも合宿やって派閥の領袖が『オレは署名する』というのは、何かすごい“先祖返り”で、まだ派閥あったの? 合宿やってたの?というのが、感想と言えば感想です」と、かつて党内で進められた派閥解消の動きに逆行する麻生派の行動を厳しく批判しました。
麻生太郎氏、自民党内の総裁選前倒し要求で注目を集める政治家
自民党内の多様性と「自由民主党」の理念
こうした党内での批判的な発言を受けて、コメンテーターのカンニング竹山氏からは、自民党内部が「実際割れている状態なんでしょうか」と質問が投げかけられました。平氏は、「私は『派閥は1回、更地にすべき』とずっと言い続けてるので、平がこう言うのは、そりゃそう言うよな、という話で」と自身の持論を前置きしました。
その上で、「一方で自民党って国民政党なので、いろんな考えの人がいるし、政策も右から左までいるし、だからと言って、じゃあつかみ合いのケンカになるかとか、政策の時『お前、あの時ああ言ったよな』というのはない。その都度その都度、議論してやるので、これを言ったからといって明日から麻生派の人が口を聞いてくれないとか…ご本人は分からない、口を聞いてくれないかもしれませんけど、そういうことはあまりないです」と説明し、多様な意見が存在しながらも党としてまとまる自民党の特性を語りました。竹山氏が「そういうことがメディアで言えるということが、いろんな人がいますよってことですよね」と納得すると、平氏は「まあ自由な、自由民主党ですよ」と締めくくり、党内の言論の自由さを強調しました。
結論
麻生太郎氏による総裁選前倒し要求は、自民党内の派閥解消という過去の決定と矛盾する動きとして、平将明デジタル相からの痛烈な批判を浴びました。この一件は、石破政権への退陣圧力と党内権力闘争の激しさを浮き彫りにしています。しかし、平氏の発言からは、自民党が多様な意見を抱えつつも、最終的には議論を通じて合意形成を図る「国民政党」としての側面が示されました。今後の党内情勢、特に総裁選の動向は、日本政治の行方を大きく左右する重要な焦点となるでしょう。