パレスチナ自治区ガザを巡るイスラム主義組織ハマスとの戦闘が続く中、イスラエル各地で6日夜、ガザ市への制圧作戦に反対し、即時停戦と人質の解放を求める大規模なデモが行われました。特にエルサレムでは、戦闘開始以来最大規模となる数万人が集結し、ネタニヤフ政権への内部からの圧力が一層高まっています。
イスラエル各地で拡大するデモの背景と要求
エルサレムの首相公邸周辺には、2023年10月にガザでの戦闘が始まって以来、過去にない規模の参加者が集まりました。デモ参加者の多くは、ガザに拘束されている人々の解放を最優先課題とし、そのための停戦を強く主張しています。しかし、ガザにおける死者数の増加が報じられるにつれて、デモのスローガンには「ジェノサイド(集団殺害)をやめよ」といった、より強い人道的訴えが加わる傾向が見られます。
エルサレムの首相公邸近くで行われたガザ停戦と人質解放を求める大規模デモの様子
南部キブツで拉致され、未だ人質として拘束されているマタン・ザンガウケルさん(25)の母親エイナブさんは、デモの壇上から「(ベンヤミン・)ネタニヤフ首相が進める戦争は、ハマスでなくイスラエルそのものを破壊している」と、政権の戦争遂行方針を痛烈に批判し、人々の共感を呼びました。
ガザ市での攻勢とハマスの情報戦
デモが拡大する一方で、イスラエル軍はガザ市での軍事攻勢をさらに強めています。6日には15階建ての高層ビルを空爆により破壊し、その前日の5日にも別のビルを破壊したばかりです。イスラエル軍はこれらのビルが、ハマスが軍の動きを監視する目的で使用されていたと説明しています。
一方、ハマスは5日、拘束中の男性人質2人の映像を公開しました。映像の中で人質は「他の8人の人質と共にガザ市にいる」と述べており、これはイスラエル国内に心理的な揺さぶりをかける狙いがあるとみられています。この情報戦は、イスラエル社会の分断と、人質解放への切迫感を増幅させる効果を狙ったものと考えられます。
結論
イスラエル国内でガザ停戦と人質解放を求める市民運動が過去最大規模に達し、ネタニヤフ政権への圧力が内外で強まっています。軍事作戦の強化とハマスの情報戦が交錯する中、人道的危機と政治的緊張は一層深まる様相を見せています。
参考資料
- 読売新聞オンライン: イスラエル各地でガザ市制圧作戦に反対する大規模デモ https://news.yahoo.co.jp/articles/8d5f97c964761703905112bd440b418ed7f83d92