国際的な「猫虐待オンラインネットワーク」の衝撃:日本にも広がる闇

近年、オンライン上で猫への残虐な行為を撮影した画像や動画が共有・販売される国際的な動物虐待ネットワークが、世界的な問題として深刻化しています。イギリスでは、このネットワークのメンバーが数千人規模で存在することが判明し、BBCは中心的なアカウントの背後に「東京在住の27歳男性」がいると報じました。この発端は中国発の猫虐待コンテンツとされており、実際に虐待に手を染める人々が増加しています。日本国内でも、過去10年間で動物虐待事犯の検挙件数が約3倍に急増しており、この問題は決して他人事ではありません。なぜこのような動物虐待が発生し、その様子をオンラインで共有・販売する行為が広がるのか、専門家の見解を交えながら深掘りします。

世界を巻き込む「動物虐待ネットワーク」の実態

2025年8月4日のBBCの報道によると、猫を拷問・殺害する動画を共有・販売する国際的なオンラインネットワークが存在し、暗号化されたメッセージングアプリ上で数千人規模のメンバーが参加しているとされています。この中には、ロンドン北西部の公園で殺害され、切り開かれて吊るされた2匹の子猫が発見された事件のように、具体的な逮捕事例も報告されています。

ネットワーク内で投稿・販売されている映像は、猫を溺死させる行為や、ケージに閉じ込めて餌を与えないといったものから、猫を感電死させるに至るまで多岐にわたります。さらに、苦痛を長引かせる目的で「蘇生させてから感電させるといい」といったチャットが交わされていることも報じられています。中には「猫100匹殺害」コンテストと称し、どれだけ早く猫を殺せるかを競い合うといった、極めて残虐な内容まで存在するといいます。このような情報がオンラインで容易に流通する現状は、国際社会全体にとって大きな脅威となっています。

国際的な猫虐待オンラインネットワークの問題を示す画像国際的な猫虐待オンラインネットワークの問題を示す画像

専門家が語る「動物虐待」の背景と法的課題

NPO法人「どうぶつ弁護団」理事長の細川敦史弁護士は、海外、特に中国における虐待情報はこれまで不確かだったものの、今回の報道や警察の捜査からその確実性が高いとの見解を示しています。細川弁護士によると、中国では自分のペットや野良猫への虐待は処罰されないとされており、これが虐待動画が製造されやすい背景にあると指摘します。一方、アメリカやイギリスでは、虐待そのものだけでなく、他人が作成した動画であってもオンラインにアップロードする行為が処罰の対象となり得るといいます。アメリカは動物虐待に特化して規制を設けていますが、イギリスは有害動画全体を規制する枠組みの中に動物虐待を含める形で対応しています。

犯罪心理学者で東京未来大学教授の出口保行氏は、小動物を殺害し、それが他者に脅威を与えることを楽しむ「負の循環」が日本国内でも始まりつつあることに警鐘を鳴らしています。出口教授は、幼少期に虫を殺す経験は多くの子どもにあるとしながらも、ほとんどの子どもは成長過程で生命の価値を学び、殺人につながることはないと説明します。しかし、「生命の大切さに気付かないままエスカレートしてしまうタイプ」も存在し、そのようなケースでは虐待が起こりやすいと分析しています。攻撃性は誰にでもあるものですが、社会の中で抑制が求められるものです。犯罪者の心理分析を長年行ってきた経験から、攻撃性の表現が時代によって変化していることは確かだと指摘します。

BBCが報じた国際的な動物虐待ネットワークの詳細を示す図BBCが報じた国際的な動物虐待ネットワークの詳細を示す図

出口教授は、攻撃性も重要な要素であると認めつつも、「歪んだ自己顕示欲のほうがよほど強い」と語ります。例えば、放火犯が人里離れた場所から火をつけ始め、徐々に人に近い場所へとエスカレートしていくように、普段社会で評価されない人物が「すごいことをやっている」と注目されることで自己顕示欲を満たし、行動が過激化して事件につながることがあるといいます。この歪んだ自己顕示欲が、オンラインでの動物虐待動画の共有や販売を助長する大きな要因の一つとなっている可能性が指摘されています。

まとめと今後の課題

国際的な動物虐待オンラインネットワークの広がりは、世界中で深刻な社会問題となっており、その影響は日本にも及んでいます。オンラインでの匿名性や国境を越えたネットワークは、新たな形態の犯罪を生み出し、従来の法規制だけでは対応しきれない課題を提示しています。専門家の見解からも、動物虐待の背景には、生命倫理の欠如や歪んだ自己顕示欲といった複雑な心理的要因が絡み合っていることが明らかになりました。

この問題の解決には、国際的な連携による法整備の強化はもちろん、動物愛護精神の啓発、そしてオンライン上での不適切なコンテンツに対するプラットフォーム側の厳格な監視体制の構築が不可欠です。私たち一人ひとりがこの問題に対する意識を高め、動物虐待の根絶に向けた具体的な行動を起こしていくことが、未来の社会をより健全なものにするために求められています。

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