パチン、パチン。皇居・宮殿の春秋の間に響き渡ったのは、悠仁さまが被られた燕尾纓の冠を固定する掛緒に、和ばさみが入れられる音だった。この光景は、古式ゆかしい儀式を通じて、国民に深い感慨を与えたに違いない。9月6日、19歳のお誕生日を迎えられた悠仁さまの成年式が執り行われ、中心となる「加冠の儀」など、奈良時代から伝わる伝統的な式典が滞りなく終了した。これは40年ぶりの成年式であり、多くの国民がその喜ばしい節目を共有したが、その一方で「国民世論の分断」が随所で垣間見えていたと、ある皇室担当記者は語る。
悠仁さま成年式後の「内宴」を巡る議論
成年式の象徴的な出来事の一つとして、同日夜に帝国ホテルで開催された「内宴」を巡るSNS上のコメントが挙げられる。この内宴には、天皇皇后両陛下をはじめとする皇室の方々やご親族が一堂に会する場であったが、ご高齢の常陸宮さまはご欠席された。さらに、翌7日に新潟県で開催される「防災推進国民大会2025」へ臨席するため、当日夕方には新幹線で移動する必要があった愛子さまも欠席された。
皇室担当記者によると、内宴は秋篠宮ご夫妻が主催する私的な夕食会であり、愛子さまが公務を優先されたに過ぎない。しかし、この愛子さまの欠席を巡り、SNS上では様々な意見が飛び交った。秋篠宮家に批判的な人々からは、「公務は以前から決まっていたのだから、愛子さまに出席してもらいたければ内宴は別の日に開催すべきだった」という意見が出た。一方で、秋篠宮家を支持する人々からは、「内宴に出席しなくて済むように、愛子さまが急に公務の予定を入れたのではないか」といった憶測までが上がったのだ。
愛子さまと悠仁さま:公務での「立ち位置」と国民感情
愛子さまと皇嗣家が優劣を競い合っているかのように煽り立てるインターネット上の投稿は、これまでも数多く見受けられてきた。その一例が8月22日に開催された「第9回アフリカ開発会議(TICAD)」に出席した各国首脳たちを招いての宮中茶会である。
第9回アフリカ開発会議宮中茶会で各国首脳夫妻を迎えられる天皇皇后両陛下と皇室の方々
この茶会では、首脳たちが一列に並ばれた皇室の方々に挨拶する際、紀子さまのすぐ後ろに愛子さまが立たれていた。ご身位としては正しい立ち位置ではあったものの、これに対しても「なぜ愛子さまが紀子さまの後ろなのか納得できない」という意見がSNS上で多く見られたと、前出の皇室担当記者は指摘する。
深化する「皇位継承問題」と国民世論の分断
天皇家の長女として公務や日本赤十字社の勤務に励まれ、日に日に輝きを増されている愛子さま。そして、皇嗣家の長男であり、現行の皇室典範では皇位継承順位第2位である悠仁さま。このお二人を取り巻く状況について、宮内庁関係者は次のように語る。「愛子さまが学習院大学を卒業され、公の場にお出ましになる機会が着実に増えていることで、女性天皇や女系天皇を認めるべきだという声も高まっています。」
横浜市こどもの国で幼い悠仁さまを優しく見守られる雅子さま
その一方で、男系継承という皇室の長い伝統を守りたい保守的な人々にとっては、悠仁さまの将来のご即位は動かしがたい「決定事項」である。両派の意見は相いれず、溝は深まるばかりの現状が続いている。
静岡福祉大学名誉教授の小田部雄次氏は、この問題についてさらに深く分析する。「女性天皇・女系天皇の容認を求める多くの国民の声を無視し、自民党をはじめとする保守派が頑なに男系男子による皇位継承を求め続ける限り、国会の議論は停滞し、国民世論の分断は収まらないでしょう。この問題は、ひいては宮内庁はもとより、皇室自体の分断を招きかねないと思います。」
今後の皇室:高まる比較と世論の動向
成年式を終えられた悠仁さまは、学業を優先されるとはいえ、今後公の場へのお出ましが増えていくことが予想される。それに伴い、ご公務や祭祀への姿勢などについて、愛子さまと悠仁さまが比較される機会も増え、国民世論の分断はさらに加速していくことだろう。
悠仁さまの成年式は、皇室の将来と国民の間に横たわる複雑な感情、そして皇位継承問題の根深さを改めて浮き彫りにした。国民が多様な意見を持つ中で、皇室がどのようにその存在意義を示し、社会の調和に貢献していくのか、今後の動向が注目される。