北朝鮮が近く「大きな挑発」 米代表が韓国で協議呼びかけ





16日、ソウルの韓国外務省で記者会見する米国のビーガン北朝鮮担当特別代表(左)と李度勲・朝鮮半島平和交渉本部長(共同)

 【ソウル=桜井紀雄】ソウルを訪れている米国務省のビーガン北朝鮮担当特別代表は16日、韓国外務省の李度勲(イ・ドフン)朝鮮半島平和交渉本部長との会談後に共同記者会見を開き、北朝鮮が近く「大きな挑発を強行する可能性」に触れつつ、北朝鮮の米朝協議担当者に向けて「まだ遅くはない」として、非核化などをめぐる実務協議の開催を呼び掛けた。

 ビーガン氏は「北朝鮮のカウンターパートに直接話したい」とし、「われわれの使命をやり遂げるときだ。われわれはここ(韓国)におり、あなた方はどう接触するかを知っている」と語った。17日までの韓国滞在中に軍事境界線がある板門店(パンムンジョム)での協議を想定しているとみられるが、記者会見で提案せざるを得ないほど、米朝の交渉ルートが行き詰まっていることを露呈した形だ。

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が年末を交渉期限に指定していることについては「米国はデッドライン(締め切り)を設けていない」とし、年末の期限に縛られない考えを示した。「柔軟な態度で創意的な措置を北朝鮮に提案してきた」とも説明した。ただ、北朝鮮は米側に交渉姿勢の転換とともに制裁解除や米韓合同軍事演習の完全中止を迫っており、北朝鮮が協議に応じて年内に妥結する可能性は低いとの見方が強い。

 北朝鮮は高官の談話でクリスマス前後の挑発を示唆するなど、威嚇のトーンを高めている。ビーガン氏は高官らによる日米韓などへの連日の非難に関し、「敵対的で否定的かつ不必要だ」と不快感も表明した。

 ビーガン氏は16日、文在寅(ムン・ジェイン)大統領とも会談。文氏が朝鮮半島の平和プロセスの進展に向けて引き続き協力を求めたのに対し、ビーガン氏は「諦めずに最善を尽くしていく考えに変わりはない」と応じた。

 米朝の非核化交渉 トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は昨年6月、シンガポールで史上初の米朝首脳会談を行い、朝鮮半島の完全非核化などをうたった共同声明に署名した。その後、交渉は停滞し、今年2月のベトナム・ハノイでの2回目の会談は北朝鮮が核施設廃棄と引き換えに求めた制裁解除に米側が応じず物別れに終わった。10月にはスウェーデン・ストックホルムで実務協議が行われたが、北朝鮮は一方的に「決裂」を表明。北朝鮮は「非核化は既に交渉のテーブルにない」などと主張している。



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