記者(キジャ)のゴミ(スレギ)=「キレギ」。韓国語でも、マスコミを揶揄(やゆ)する言葉「マスゴミ」はこう表現される。日本と共通の課題を数多く抱え、苦悩する韓国メディアの現在をリポートする。(外信部 時吉達也)
企業と癒着「バイト原稿」の仲介業
記者が企業や官公庁からひそかにバイト料をもらい、執筆した“ちょうちん原稿”を所属するメディアに記事として掲載する。昨年11月、現役の記者700人超が登録済みと豪語する「仲介業者」がホームページを開設し、公然と募集を始めた。
水面下で事業を手掛けていた過去3年間で、仲介を通じ記者が得た報酬は「総額2億3000万ウォン(約2300万円)超」。「隣の席の同僚記者もやっている! 自分以外みんなやっている」。そんなうたい文句が、トップページに躍った。
登録記者は、所属する新聞・放送局名とニックネーム、連絡先を登録し、発注元の企業側とは匿名でやり取りをする仕組み。仲介業者は「徹底した個人情報管理で会社にはバレない」と記者を誘惑する。ただし、取引成立の可能性を高めるため、記者側に求める条件が一つある。「大手ポータルサイトへの記事転載が可能なこと」だ。
ネット新聞増加、10年で8倍
韓国は、インターネットを使った情報検索の入り口となる「ポータルサイト」のニュース配信が世界で最も普及した国に挙げられる。英オックスフォード大ロイター・ジャーナリズム研究所の調査で、デジタルニュースを利用する際の主な経路としてポータルサイトを挙げた回答が、韓国では調査対象の38カ国(平均31%)のうち最高(76%)を記録。「新聞社などの公式サイトを訪問」は4%で最下位だった。
絶えず問題が指摘されるのは、ポータルから配信される記事の質だ。