海上自衛隊のP3C哨戒機(航空機)部隊が20日、新たな任務として中東海域での情報収集活動を始めた。2月2日には護衛艦(艦船)「たかなみ」も中東に向けて出航し、活動に従事する。ただ、一連の活動内容はあまり知られていない。一体、何のために何をするのか。
▽洋上と上空から船舶チェック
護衛艦は洋上、P3C哨戒機は上空から目視やレーダーにより、公海を往来する船舶をチェックする-。活動内容を要約すれば、こういうことである。船舶の船籍国、船名、船体の特徴、位置、方向、速度などを確認し、記録する。
その中で、不審な船を見つけるケースが想定される。例えば、義務付けられている信号を出さずに航行▽本来の目的地とは異なる方向に進む▽動きや積み荷、船員が不自然-などのパターンだ。こうした情報は政府内で共有される。日本船舶の航行の安全のために必要であれば、国土交通省を通じて船舶会社側に伝えられる。
▽哨戒機活動は従来と変わらず
海自の護衛艦と哨戒機は平成21年から10年以上にわたり、アフリカ東部のジブチを拠点に、ジブチ沖のアデン湾で海賊対処活動に従事してきた。今回の派遣において、哨戒機がやることは「今までと変わらない」(自衛隊幹部)ようだ。
哨戒機は海賊対処を続けつつ、新任務である情報収集も実施している。つまり二重任務を帯びているが、活動海域は今までと同じアデン湾が中心となる。いずれの任務も、上空から船舶をチェックする点では同じだ。これまでも海賊対処活動の最中に不審な船を見つけることは多々あったが、海賊船ではないからといって放置したわけではない。実質的に情報収集もしていた。
護衛艦の情報収集活動も、哨戒機同様、往来する船舶をチェックする点においては大きく異なるわけではない。ただ、オマーン湾やアラビア海北部を中心とする新たな海域で活動する。アデン湾の海賊対処では他国と担当エリアを分けるゾーンディフェンスを実施しているが、今回は他国と一線を画し、独自に航行する点も異なる。