昨年放送されたテレビドラマを手がけた優れた新進脚本家に贈られる「第8回市川森一脚本賞」は26日、「JOKER×FACE」(フジテレビ)の玉田真也さん(34)に決まった。同賞の主催財団が発表した。玉田さんは史上最年少での受賞。また同賞に深夜帯のドラマが選ばれたのは初めて。
同作品は、松本穂香さん演じる美女、流川が「JOKER」という動画配信チャンネルを運営し、「アイドルの実態」「オレオレ詐欺の実態」「サクラビジネスの実態」などを配信。謎に包まれた流川の目的を追うドラマ。「巧みな台詞(せりふ)力で時代の空気を切り取る多彩な表現力」などが高く評価された。3月28日に、都内で贈賞式が行われる。
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「連続ドラマでは初めての脚本。プロデューサーが任せてくれて、好き勝手、自由に書いた作品。これで賞がもらえるとは相当運がいい」
受賞作品について自ら評する。
ユーチューバーを題材にし、2話で完結する1話30分、全10話のドラマ。テレビドラマの作り手側からすると「テレビより、ユーチューブは自由な感がある。何の忖度(そんたく)もないので、若い層は自分たちのメディアだと思うのではないか」と推測する。
元は演劇畑。大学時に演劇サークルに入り、脚本や演出を担当した。せりふが高く評価されたことに関しては「映像のシナリオライターや小説家に比べると、劇作家は台詞一つにどう情報を込めるかが勝負。その経験値が大きいのでは」と話す。一方、今回のような舞台の芝居よりも圧倒的に短い30分ドラマは、舞台に比べ、「何かを犠牲にしなきゃいけない短さ」とも感じた。「展開ばかり追い求めると人物描写が薄くなる大変さがある」