米のアフガン撤収を待つIS 再び領域支配の機をうかがう

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記者会見前に祈りを捧げるアフガニスタンのアシュラフ・ガニー大統領(中央)=2月29日、カブール(ロイター)

記者会見前に祈りを捧げるアフガニスタンのアシュラフ・ガニー大統領(中央)=2月29日、カブール(ロイター)

 米国とアフガニスタンのイスラム原理主義勢力タリバンが和平に合意した。アフガンで米軍がプレゼンスを低下させることは、イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)にとっては勢力伸長の好機となる。アフガンに「力の空白」が生じるのに乗じ、シリアやイラクではついえた領域支配を再び模索する可能性がある。

 アフガンでは2015年以降、ISの「ホラサン州」を名乗る武装組織が活発に動く。タリバンの不満分子などを吸収しつつ、政府やシーア派住民らへの攻撃を繰り返している。

 米シカゴ大の研究機関によれば、18年にホラサン州が関与したとみられる自爆テロは少なくとも29件に上り、数の上ではタリバンによる同種のテロを上回った。19年8月には首都カブールで、結婚式の出席者ら60人以上が死亡する自爆テロが起きている。

 ISは14年、「カリフ(預言者ムハンマドの後継者)制国家」の復活と既存の国境の打破を掲げ、一時はイラクやシリアで広大な土地を支配。共鳴する各地の武装勢力をISの“地方州”として次々と傘下に収めた。「ホラサン州」もその一つだ。

 ISが、イラクやシリアで曲がりなりにも領域支配を実現できたのは、中央政府の機能不全や内戦、宗派・部族対立による混乱といった条件がそろっていたためだ。そこに、戦闘意欲が極めて高く、イスラムを唯一絶対の正義だと信じる集団が狙いを定めて一気に支配を広げた。

 同じことは今後、アフガンでも起こり得る。

 駐留米軍の規模縮小により、アフガン政府の弱体化は避けられない。大統領選での敗退を不服とするアブドラ行政長官が独自政権を樹立するとしたことも、国内をいっそう不安定化させるだろう。ISにとり、どんな形であれ混乱拡大は願ったりかなったりだ。

 イラクやシリアでのIS支配は、18年から19年前半にかけ、米主導の有志連合などによる掃討作戦で終焉した。

 しかし、一時的にとはいえ、世界の一角にシャリーア(イスラム法)統治を掲げる疑似国家が出現した事実は、各地のジハード(聖戦)主義者に、現在の世界秩序の破壊とイスラムによる支配は実現可能だ-との危険な展望を与えた。ISのイデオロギーはなおも多くの戦闘員を引きつけている。

 アフガンにISやそれに類する勢力の支配地域が広がれば、テロリストにとっての安息地と、さらなるインスピレーションをもたらしかねない。(前中東支局長 大内清)

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