新型コロナウイルスの感染拡大による臨時休校に伴う働く保護者の収入補償をめぐり、政府はいち早く新制度の大枠を固めた。休校で感染の広がりを抑えることが期待できる一方、休校要請が急だったこともあり、「現場では混乱を招いている」との批判もある。政府は迅速に対応することで、国民の理解を得たい考えだ。
働く保護者の収入を補償する方針は、安倍晋三首相が2月29日の記者会見で表明した。今回の新制度のポイントは、主に小学校に通う児童に焦点を当てている点だ。
助成にあたっては「合理性」を重視した。中学生以上の子供は、保護者が仕事を休んで世話をする必要が低いと判断し、対象外とした。義務教育学校の小学校課程の児童は対象となる。在宅勤務は対象外になるとみられるが、検討中だ。
保護者が仕事を休んだ場合の賃金について全額を助成することにしたのは、休みやすい環境を整備するためだ。助成金の上限は、財源に雇用保険などを使うことから、失業給付(基本手当)の上限である日額約8330円にそろえ、バランスをとった。上限を超える部分がある場合は企業の負担となるが、この助成金を使って正規、非正規雇用を問わず収入を補償してもらう考えだ。
年次有給休暇とは別に有給の休暇を取得させた企業を助成対象にしたのは、通常の年次有給休暇が労働者の権利で、これを侵害されないようにとの配慮からだ。
適用期間の起点は2月27日。首相が臨時休校にするよう要請を表明した日で、多くの学校が休校となった3月2日よりも前とした。適用期間の終わりは、すでに春休みが始まっていると想定し、今月31日までに設定した。
(中村智隆)