新型コロナウイルスの感染拡大を受けた政府の緊急事態宣言から一夜明けた8日、7都府県に事業所を置く企業や省庁は、外出自粛要請などを踏まえて在宅勤務を強化したり、来庁者の体温を測ったりするなど感染を広げないための対策を講じた。海外の都市封鎖と異なる“日本流”の新型コロナ対策は、一定の経済活動を許容するのが特徴で、感染拡大の防止とどう両立させるかが問われる。
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企業は、在宅勤務の強化のほか、工場の一時的な稼働停止や全社的な休業に踏み切る動きも出てきた。中には、自宅で快適に働いてもらうため在宅勤務手当として6万円を支給する企業も。ただ、在宅勤務ができない業務も多く、今後本番を迎える3月期決算企業の集計などで厳しい対応を迫られるケースも出ている。
フリーマーケットアプリ大手のメルカリは8日、東京、大阪、福岡の3拠点でオフィスを閉鎖し、完全在宅勤務体制に移行すると発表。同時に、自宅での勤務環境整備のため、半年分の在宅勤務手当として1人当たり6万円を支給する。日本生命保険は8日から、全社員の半分相当の約3万5千人に在宅勤務を要請する取り組みを始めた。
パナソニックは、緊急事態宣言の対象地域にある計約30工場について、一時的に稼働を停止したり生産を縮小したりする検討に入った。既にテレワークなどを始めている日立製作所や三井物産、三菱商事などは在宅勤務を徹底したり強化したりする。関西電力は在宅勤務者がスマートフォンの専用アプリで内線電話サービスが使えるようにした。
旅行大手エイチ・アイ・エス(HIS)は5月6日まで一部を除き全社的に休業とする。休業期間中も正社員、契約社員の給与は全額支払う。キヤノンも東京都大田区の本社、神奈川県内の事業所で5月6日まで臨時休業とした。休業手当は6割以上を補償する。