【主張】香港の危機と日本 国会は立ち上がらぬのか

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 「一国二制度」を形骸化させ、自由を奪う香港国家安全維持法が施行された香港で、早くも弾圧が強まっている。

 香港と同じ東アジアに位置する日本は、自由と民主主義、法の支配という基本的価値を擁護するために果たすべき役割があるはずだ。

 ところが、日本の国会は傍観するばかりである。閉会中という言いわけは通用しない。自由を求める香港市民と連帯しなければならない。

 返還記念日の1日、香港では1万人以上の人々が同法への抗議デモに参加した。弾圧強化が予想される中での勇気ある行動だ。

 違法集会などの容疑で約370人が逮捕された。10人に同法違反が初適用された。「香港独立」と書かれた旗を持っていただけで捕まった市民がいる。中国の習近平政権の意を受けた香港警察の取り締まりである。

 米政府は中国を厳しく非難している。米上下両院は、香港の「高度な自治」を侵害する中国当局者らに制裁を科すことを求める制裁法案を可決した。

 日本を含む27カ国は6月30日、国連人権理事会で、中国政府に国家安全維持法の再検討を求める共同声明を出した。安倍晋三首相が直接発信していないのは解せないが、菅義偉官房長官と茂木敏充外相は記者会見や談話で、同法制定に遺憾の意を表明した。

 そんな中で際立つのが、無反応を決め込む国会の体たらくだ。日ごろは自由や民主主義の大切さを説きながら、肝心なときには強面(こわもて)の中国を恐れる内弁慶ばかりなのか。それとも本当は、自由や民主、人権の普遍的意義すら理解していないということか。

 衆院外務委員会や参院外交防衛委員会の閉会中審査を開き、対中制裁の必要性を含め政府対応を質(ただ)すべきである。短期間の臨時国会を開き、香港の自由を守る国会決議を出すよう呼びかける政党はないのか。

 与党の自民党と公明党の動きも鈍い。自民党の外交部会と外交調査会の役員会は3日、習国家主席の国賓来日中止を求める非難決議案をまとめた。近く正式決定し、首相官邸に提出するが、いかにも遅い。部会レベルの決議にとどまるなら、党全体の意思表明とまではいえない。自由か中国の顔色か。どちらに重きを置くかがはっきり分かる正念場である。

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