「殺意 ストリップショウ」鈴木杏 初めての1人芝居に挑む





鈴木杏=東京・世田谷パブリックシアター(戸加里真司撮影)
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 三好十郎の戯曲「殺意 ストリップショウ」が、東京都世田谷区のシアタートラムで上演されている。栗山民也演出の、ストリップダンサーがいちずな恋と壮絶な半生を語る約2時間。初めての1人芝居に挑む女優の鈴木杏は「私自身は残像でいい。ただの媒体として、見る人にその瞬間のキラッとした何かを伝えられたらうれしい」と話す。(三宅令)

 高級クラブのステージで、緑川美沙(鈴木杏)は自らの半生を語る。南国の小さな町から上京し、左翼の社会学者を先生と慕い、その弟と心を通わせた。しかし第二次世界大戦で、弟は軍国主義に転向した先生に背中を押されて学徒出陣し、命を落とす。戦後、先生は再び左翼にくら替えした。その卑しさを許せず、殺害を決意するが-。

 一読し、昭和25年に発表された戯曲の持つ「魔力」に魅了されたという。とめどないセリフから浮かび上がる濃密な情念、普遍的な人間というものの存在、社会のあり方に「日本の宝になる戯曲」と言い切る。「自分の生活とは遠いところで何か大きなことが動いて、実感がわかないまま巻き込まれていく感覚は、私たちにも覚えがあるはず」と、当時と現代社会の共通点を見いだす。

 主人公を時代の流れに巻き込まれた、間が悪かった女性だと考える。「本来はまっすぐに歩いていける人なのに、信じていたものや愛する人を失って、あらゆる打撃が彼女を襲って、果てまで行き着いてしまった」と分析し、「純粋だからこそ、闇に沈んだ」と評する。

 その暗い熱量、噴き上がる喜怒哀楽を表現したうえで、膨大な量のセリフを口にし、1人で広い舞台を回さなければならない。「甘えがない戯曲。覚悟を突きつけられる」と話す通り、初めての1人芝居で向き合うには重い内容だが、「これを後世に残したい。やれるやれないは後回し」と稽古を重ねてきた。「演出家を独り占めするなんて、とてもぜいたくな経験をしている」とも話す。

 ひそかに楽しみにしていたことがある。「共演者がいないから、上演前の楽屋に友人を招こうかと」。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大で、面会や差し入れは禁止となり、実現できなくなった。

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