【ロンドン=板東和正】英政府が第5世代(5G)移動通信システムから中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)を排除することを決定する見通しとなった。早ければ14日にも発表する。英政府は同社製品の限定的な活用を容認していたが、方針転換する形だ。華為への制裁を強める米国などとの連携を重視したとみられる。
英メディアによると、英政府は早ければ今年から、5G通信網での華為製品の使用を段階的に取りやめる方針。英政府はNECや韓国サムスン電子などと協議し、華為に代わる製品の調達先を模索している。
華為をめぐっては、米商務省が今年5月、同社に対する輸出禁止措置を強化すると発表。米国に由来する技術を使った半導体は、外国製でも華為への輸出ができなくなった。英国家サイバーセキュリティーセンターは、輸出禁止措置の強化で、華為が必要な部品を調達できなくなり、同社製品の安全性を保証できなくなったと判断している。
英政府は今年1月、華為製品の使用を5Gネットワークの非中核部分に限って採用する方針を発表した。しかし、安全保障上の理由で完全排除を同盟国に訴えていたトランプ米政権は英政府に再考を促していた。
英国内でも、新型コロナウイルスをめぐる中国の対応に非難が殺到。さらに、中国による香港国家安全維持法(国安法)施行を受け、英政府は中国への批判を強め、方針の見直しを決断したとみられる。