【シンガポール=森浩】南半球に位置し、冬を迎えたオーストラリアで新型コロナウイルスの第2波への懸念が高まっている。パブでクラスター(感染者集団)が発生するなどし、14日には感染者が累計で1万人を越えた。日本政府は豪州と出入国制限の緩和に向けた調整を進めているが、感染拡大が続けば計画に変更が出る可能性もある。
豪州の感染者数は3月中旬から増加し、政府は同月下旬からロックダウン(都市封鎖)を実施した。その後、感染拡大が抑えられたことから政府は制限措置の緩和に乗り出していたが、6月下旬から感染者が再度増加する兆しが見えている。
南東部ニューサウスウェールズ州では13日、最大都市シドニー南西部のパブの客ら13人の感染が確認された。パブにはトラックの運転手が多数訪れていたといい、ウイルス拡散につながる可能性が懸念されている。クラスター発生を受けて州当局は、パブに入店できる人の数を制限する措置を導入した。また、シドニーではカジノの利用客の感染も確認された。
特に感染者が増加しているのが南東部ビクトリア州で、州都のメルボルンは8日深夜から2度目の都市封鎖に入った。都市封鎖は6週間続く見通しで、食品の買い出しや通院などを除く不要不急の外出が原則として禁止された。同州では都市封鎖後も毎日100人を超える感染者が確認されており、州当局は「まだ感染のピークではない」との見方を示している。