ミシガン州デトロイトの母子寮で15歳という若さで出産を経験したケネディ・ジョンソンさん。それから25年後、彼女は西アフリカ、ガーナ北部の女王に任命されるという、想像もしていなかった運命を辿ることになります。この記事では、ジョンソンさんの驚くべき人生、そして異国の地で女王として活躍するまでの軌跡をご紹介します。
15歳での出産、そしてDNA検査で見つかったルーツ
1996年2月、15歳だったジョンソンさんは養護施設で娘を出産。親戚に預ける約束でしたが、彼らは戻ってきませんでした。幼い頃に抱いていた多くの夢を諦め、ジョンソンさんは深い悲しみと困難に立ち向かわなければなりませんでした。「ただひたすらに力を振り絞り、内なる強さを探し出すしかなかった」と彼女は当時を振り返ります。
alt=ガーナ北部の女王となったケネディ・ジョンソンさんの凛とした姿
娘が成長し独立した後、ジョンソンさんはDNA検査を受けました。その結果、自身にナイジェリアとガーナの血が流れていることが判明。これが、彼女の人生を大きく変えるきっかけとなります。初めて西アフリカの地に降り立った時、ジョンソンさんは「故郷に帰ってきた」ような感覚を覚えたと言います。それは、まるで「重荷から解放されたような、大きな安堵感」だったそうです。
西アフリカへの旅、そして運命の出会い
初めての西アフリカ旅行をきっかけに、2018年、ジョンソンさんは「グリーン・ブック・トラベル」という会社を設立。これは、大西洋奴隷貿易の輸送場所など、歴史的に重要な場所を巡るツアーを企画する会社です。何百人もの人々がこの企画に興味を示し、ジョンソンさんは頻繁に西アフリカを訪れるようになりました。
ある旅行中、ジョンソンさんは強い衝動に駆られ、ガーナ北部を訪れることになります。そして、タマレの地で運命的な出会いを果たします。訪問2日目、彼女はタマレのダクペマ(宗教指導者)と長老たちに会うよう要請されました。この時、ジョンソンさんはこれがただの会合ではないことをすぐに察知したと言います。長老たちは話し合った後、ジョンソンさんに「女王になる準備をしてほしい」と告げたのです。
alt=ガーナの伝統衣装を身にまとい、女王として式典に参加するケネディ・ジョンソンさん
「ゾシムリ・ナー」:友愛の女王としての新たな人生
2021年10月、ジョンソンさんはタマレの熱狂的な群衆の前で、ダクペマから「ゾシムリ・ナー」の称号を授与されました。「ゾシムリ・ナー」とは「友愛の女王」を意味し、地域の発展を担う重要な役割を担います。伝統的な王室の衣装を身につけ、馬に跨るジョンソンさんの姿は、まるで夢のようでした。「今でも信じられない気持ちでいっぱい。まるで非現実的な夢を見ているようだ」と彼女は語ります。
困難を乗り越え、異国の地で女王へと上り詰めたジョンソンさん
15歳で母となり、様々な困難を経験してきたジョンソンさん。しかし、彼女は決して諦めませんでした。自身のルーツを探し求め、西アフリカの地で新たな人生を切り開いた彼女の物語は、多くの人々に勇気を与えるでしょう。 彼女が今後、ガーナの発展にどのように貢献していくのか、注目が集まります。