群馬県の山本一太知事は16日の定例会見で、新型コロナウイルスの地方への感染拡大の懸念から延期を求める声などが出ている政府の観光支援事業「Go To トラベル」について、東京、神奈川、千葉、埼玉の1都3県などを念頭に「感染が拡大している地域との行き来は積極的に進めるべきではない」と述べた。その上で地域の実情に合わせた形での実施を求め、事業には見直しが必要との認識を示した。
「Go To トラベル」はコロナ禍で打撃を受けた観光業を支援する政府キャンペーン。旅行商品の50%相当を国が支援する。観光需要の増加が見込まれるため、業界の期待感も高い。
だが、東京都で16日に過去最多の286人の新規感染者が出るなど感染再拡大の懸念が強まっており、地方では首都圏の観光客受け入れに慎重論が出ている。
山本知事は「事業自体は意味がある」と認めつつも「実施方法は全国一律ではなく自治体と相談しながら柔軟に対応していただきたい」と見直しを主張した。
具体的には、一定の効果が出ている県民限定の地元観光キャンペーンを踏まえ、「近場を観光するマイクロツーリズム推進の制度として事業を活用しては」と提案した。
一方、観光業は中長期的にコロナとの共存が求められるとして、有識者らによる「ウィズコロナ時代の観光のあり方検討会」のウェブ会議を17日に初開催。「(3密対策として)観光需要の平準化などをテーマに議論を進める」とした。
また、4月27日以来最多となる4人の新規感染者が15日に確認されたことに関連し、山本知事は都内との関連性が目立つとして「都内への不要不急の移動は控えてほしい」と県民に呼びかけた。行動基準を示した県独自の警戒レベルについては最も低い「1」(限定的な制限)を維持する考えを改めて示した。