群馬の山本一太知事が就任1年 会見は80回超、コロナ禍直撃の経済回復に課題





群馬県庁の動画・放送スタジオ「ツルノス」。山本一太知事(右)は、情報発信に力を入れる=県庁(代表撮影)

 群馬県の山本一太知事は就任から1年を迎えた。県民の幸福度向上などの目標を掲げ「全力疾走」を続けた山本県政。この1年間で、どんな成果を挙げ、何が道半ばなのか。昨夏の知事選マニフェストに掲げた「5つの重点政策」から現状を点検した。

 目に見えて成果を挙げたのは「県政の透明化・オープン化」だ。

 「県民とのコミュニケーションを倍増させる」として、定例会見をほぼ毎週1回開催。臨時も含め、会見の回数は80回を超えた。

 会見の模様はノーカットで動画サイトに公開され、自身のブログや短文投稿サイト「ツイッター」でも言及。県政の「今」を積極的に発信し、県民と政治の距離を縮めた。

 こうした発信力は、県のブランド力向上を図る「新たな県民の誇り育成」でも重要な鍵となる。

 4月にオープンした動画・放送スタジオ「ツルノス」からは、観光地や県産食材といった県の魅力などを伝える動画計455本を配信。新型コロナウイルスをテーマにした西村康稔経済再生担当相との対談など硬軟織り交ぜた発信は、県の存在感のアピールに貢献した。

 ただ、ブランド力向上は目に見えるものではなく、約1億1700万円もの整備費に見合う効果は測りづらいだけに、県民に分かりやすく説明する努力が欠かせない。

 この1年は、「安心を支える社会基盤整備」の重要性が問われる局面が続いた。昨秋の台風19号からの復旧や豚熱(CSF)の感染対策。そしてコロナ禍への対応では補正予算を編成し、感染者用の病床確保やPCR検査体制の拡充など対策強化に努める。

 対応を誤れば政治責任も問われかねないだけに、自ら会見で県内の感染状況を繰り返し説明する場面が目立った。

 道半ばなのが「県GDP・県民所得の拡大」だ。

 競争力を持つ県産農畜産物の開拓や訪日外国人観光客(インバウンド)へのPR強化などを打ち出してきた。

 しかし、リーマン・ショックを超えるとされるコロナ禍に伴う経済危機の中、今後どう回復への道筋を描くのか。自らも「深刻なダメージは秋以降に顕在化する」との見通しを示すほど現状は厳しい。

 一方で、「官民連携による行財政改革」を積極的に進める。

 企業管理者や政策アドバイザー、最高デジタル責任者(CDO)らを民間から登用。役所にはない大胆なアイデアを県政に生かす試みで、中長期的には県庁の体質改善が進むのかも注目される。



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