【ロンドン=板東和正】世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は30日、ジュネーブでの記者会見で、多くの国では新型コロナウイルス感染による死者の40%以上が高齢者の長期介護施設で亡くなっていると述べた。高所得国ではこの割合が80%に上る国もあるとし、重症化しやすい高齢者の感染予防を徹底するよう呼びかけた。
テドロス氏は会見で、WHOが同日までに長期介護施設での新型コロナ対策について指針を公表したことを紹介。指針は、各国がとりうる具体的な対策を列挙し、入所者の家族や介護士に対する支援を充実させることも求めている。
他方でテドロス氏は「高齢者は重症化のリスクが高いが、若年層にもリスクはある」と強調。「若者は(新型コロナに)無敵ではない。感染し、死亡する可能性がある」と警告した。
テドロス氏は、夏季にあたる北半球の一部の国では、若者が警戒を緩めることで感染者が急増していると指摘。「私たちが直面している課題の一つは、若い人たちに(感染の)リスクを理解してもらうことだ」と述べた。