トランプ政権、対日「相互関税」15%発動 日米間の認識齟齬と日本の修正要求

ワシントン時事】トランプ米政権は7日、貿易相手国・地域に対し10~41%の新たな相互関税を発動しました。日本に対しても15%の関税が上乗せされましたが、日米間の認識には依然として食い違いが残っています。現在訪米中の赤沢亮正経済再生担当相は、米側との協議を継続し、合意内容の修正を求めています。トランプ大統領は6日深夜、自身のSNSで「長年米国を食い物にしてきた国々から、数十億ドルもの金が入る」と強調しました。

新たな相互関税の発動と日米間の認識の食い違い

日本への相互関税は、米政権が4月に公表した24%という初期の想定を下回るものの、従来の基本税率10%からは引き上げとなります。日本政府によると、先月の日米合意では、15%以上の品目には相互関税を上乗せせず、これを下回る品目については一律15%とすることで両国が合意していました。しかし、米政府は6日付の官報で、日本には15%の税率が追加で上乗せされると明記し、そのまま発動日を迎えました。ホワイトハウス当局者も同日、日本の相互関税は15%で合意しており、「既存の税率に15%が上乗せされる」と改めて言明しました。

トランプ政権による対日関税発動を受け、協議を行う赤沢経済再生担当相とラトニック米商務長官トランプ政権による対日関税発動を受け、協議を行う赤沢経済再生担当相とラトニック米商務長官

具体的な関税率引き上げの影響

今回の相互関税発動により、日本産牛肉のうち一定の輸入枠を超える分については、従来の26.4%から41.4%へ、マヨネーズは6.4%から21.4%へと関税率が高まることになります。これにより、該当する日本産品の米国市場での競争力に影響が出ることが懸念されます。

日本政府の対応と継続する協議

林芳正官房長官は記者会見で、「日米間に齟齬(そご)はないことを米側に確認している。さまざまなレベルで意思疎通を図り、合意の着実な実施に努める」と強調し、日本の立場を主張しました。また、自民党の小野寺五典政調会長は、関税発動後に開かれた党会合で「現時点で日本は関税特例の対象から外れている」と指摘し、合意内容を遡及(そきゅう)して適用するよう政府に強く働きかける考えを示しました。赤沢経済再生担当相は6日、ラトニック米商務長官と約90分間にわたり協議を行い、日本政府によれば相互関税の合意内容を確認し、「直ちにその内容を実施するよう求めた」とされます。さらに、27.5%から15%への自動車関税の引き下げなど、他の早期履行についても要請しました。

結論

トランプ米政権による対日相互関税15%の発動は、日米間の貿易合意における認識の食い違いを浮き彫りにしました。日本政府は、この問題に対し、政府高官レベルでの協議を通じて合意の「着実な実施」を求め、特に赤沢経済再生担当相が米国で直接修正を働きかけるなど、事態の打開に向けて精力的に取り組んでいます。今後の日米間の意思疎通と交渉の進展が注目されます。

参考文献