米大統領選は開票作業が続き、5日までに民主党のバイデン前副大統領(77)が激戦州のミシガン、ウィスコンシン両州での勝利を確実にした。バイデン氏が当選に必要な選挙人の過半数獲得に王手をかけた一方で、再選に黄信号がともった共和党のトランプ大統領(74)は、ミシガンなど3州で集計停止を求め法廷闘争を開始した。
郵便投票をめぐる開票作業の混乱と長期化、法廷闘争突入の様相―。バイデン氏優勢が伝えられる中、泥沼化の可能性も出てきた大統領選について、米国人のお笑いタレント・厚切りジェイソン(34)は「双方が納得するまで票を正確に数えればいいと思います。正確さこそが民主主義の醍醐(だいご)味。曖昧なままで敗北宣言はいらない」と持論を述べた。
メディアの論調は「大接戦」から「バイデン氏優勢」へと傾きつつあるが、ジェイソンの見解は異なる。「まだ選挙人の数は確定していませんし、正確な票数は現状では分からない。どちらも勝者になり得る状況だと思いますよ」。トランプ氏の支持はしていないが、一貫して共和党支持を公言してきた。「共和党政権を支持することに変わりはありません。前提として、上院は共和党が握っているので、バイデン政権になっても少なくとも(次回中間選挙が行われる)2年後まで民主党の重要法案は通りにくいこともあります」
不明瞭な部分を残した上での早い結論よりも、司法の場も含めて徹底した調査が必要とみる。「大統領選は票の集計方法が州によってバラバラなので、接戦になると今回のようなことが起きやすい。混乱の原因になっていますよね。だから、訴訟のための訴訟ではなく、票数をシビアに検証する訴訟が必要です。既に300件くらい起きているとも聞きますが…」
2000年選挙でも共和党のブッシュ氏と大接戦となった民主党のゴア氏が正式に「敗北宣言」を行ったのは投開票日の5週間後だった。「今回、もし長期化するとしたらどのくらいかかるかは全く読めないですけど、あの時と同じくらい時間がかかってもいいと思う。みんなが納得できるところまでやって。今回もたぶん、そのくらいまでやって初めて敗北宣言による終止符を打てる。票を完全に確定させられるまで、どちらにしても敗北は宣言できないと思います」
◆厚切りジェイソン(あつぎりじぇいそん)本名はジェイソン・デビッド・ダニエルソン。1986年4月9日、米国ミシガン州生まれ。34歳。ミシガン州立大、イリノイ大大学院卒。2005年に来日し、お笑い番組を見ながら日本語を勉強。IT企業役員を務めながら芸人に。15年、芸人歴4か月で「R―1ぐらんぷり」ファイナリストに。「Why Japanese people?(なぜなんだ日本人)」の絶叫ツッコミなどが人気。07年に日本人女性と結婚し、3人の娘がいる。
◆敗北宣言 大統領選では劣勢の候補が国民向けに敗北宣言をして決着を図るのが慣例。法律で規定されているわけではなく「潔き不文律」ともいわれる。1896年の選挙で敗れたブライアン(民主党)が相手のマッキンリー(共和党)に祝意を伝える電報を送ったのが始まりだとされる。