
田村憲久厚生労働相は13日の衆院厚労委員会で、新型コロナウイルスのワクチンについて、医療機関に加えて公共施設などに対象者を集めて接種を行う検討をしていることを明らかにした。集団接種は1994年の予防接種法改正以来、全国一律では行われておらず、ノウハウが残っていない市町村もあるため、体制構築が課題となる。
開発中のワクチンの特性を踏まえての措置だ。例えば開発が先行する米製薬大手ファイザーのワクチンは、マイナス70度の超低温での輸送・管理が必要だ。ワクチンの中には、複数回分が一つの容器(バイアル)に入れられており、短時間で連続的に使用しないと有効期限が過ぎるものもある。いずれも、一定の場所に多くの人を集めて、集中的に接種するしか解決策がない。厚労省は10月下旬、集団接種も念頭に準備を始めるよう自治体向けに事務連絡を出した。
国内ではかつて広く集団接種が行われてきた。しかし、副反応(副作用)が問題化し、94年の予防接種法改正以降は医療機関に個人が出向く「個別接種」が基本と改められている。
田村氏は「強制的に集めて接種するということはあり得ない」とした上で「多くの方に集まってもらって感染防止をしっかりやりながら効率的に接種することは想定している」と説明した。【横田愛】