いわゆる「キラキラネーム」の人にとって、気になるニュースが飛び込んできた。
上川陽子法務大臣は11月17日の記者会見で、戸籍に「氏名の読み仮名」を明記するかどうかについて、2020年度中に研究会を設置し検討を進めることを明らかにした。意外かもしれないが、これまで戸籍には読み仮名は記載されていなかった。
【写真】「王子様」からの改名を果たした男性
もし戸籍に氏名の読み仮名が記載されることになると、「輝星(べが)」「美音(りずむ)」などのキラキラネームをつけられた人が読み方を変えたいと思っても、変更が難しくなる可能性が出てきたのだ。
●出生届に書かれる読み方は住民票への記載に使用
子どもの出生届を出したことがある人ならわかるかもしれないが、出生届では「子の氏名」欄の上部に読み方を記載する。
しかし、法務省の担当者によれば、読み仮名については民法・戸籍法に規定がなく、「戸籍に登録されるものではない」という運用がなされてきた。出生届の読み方は何のためにあるのかというと、住民基本台帳(住民票)に記載されるためとのことだった。
●キラキラネームの読み方変更も難しくなるかも?
読み仮名は戸籍に登録されていないため、住民票などにおける「氏名の読み方」については今のところ比較的自由に変更ができる。
たとえば、住民票に読み仮名が記載されている自治体では、市町村役場で「住民票ふりがな修正申出書」を届け出ることで、必要な手続を終えることができる。
一方で、戸籍にも登録される「名の漢字(文字表記)」を変更する場合には、家庭裁判所の許可が必要となる。改名をしないとその人の社会生活において支障を来す場合など正当な事由がないと認められず、単なる個人的な趣味や感情等のみでは容易に変更が許可されない。
過去には「王子様」と名付けられた男性が、「奇妙な名である」という理由で申し立てを行い、認められた例がある。
もし戸籍に登録されるとなれば、氏名の読み方の変更も簡単にはできなくなるかもしれないのだ。
法務省の担当者は「どのように戸籍へ登録されるようになるのか、読み仮名だけの変更手続きがどうなるのかなど、法改正の必要性も含めて、近く設置される研究会で検討していく」という。
これまで、戸籍制度が親族的身分関係を登録・公証するためのものであり、読み仮名は必ずしも不可欠な事項ではなかった。しかし、デジタル化社会では、氏名の読み仮名も個人識別において重要な要素となるため、あらためて読み仮名の法制化に向けて動き出した格好だ。