<危機の韓日関係、連続診断20>強制徴用問題解決のためには「過去の歴史原理主義」からの離脱を(1)


<危機の韓日関係、連続診断20>強制徴用問題解決のためには「過去の歴史原理主義」からの離脱を(1)

出席者は「機会の窓は開かれたが、時間はそれほど多くない」「核心イシューである強制徴用問題解決のために韓国政府が先制的に出なければならない」という意見で共感した。この日、テーマ発表を行った韓日ビジョンフォーラムの申ガク秀(シン・ガクス)委員長(元駐日大使)は「韓日中首脳会議の年内開催が韓日関係の重要な指標になるだろう」と見通した。

◆申ガク秀氏のテーマ発表文要約

バイデン政府は米国の指導力を回復するために米国を「国際秩序」という食卓のメインテーブルに据えようと努力するだろう。もう一つの特徴は「外交の軍事化抑制」だ。武力の使用ではなく外交・開発・制度を強調して新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)で急増した財政支出を減らすために国防費縮小に出るものとみられる。同盟国との協力を強化し、逆に同盟国の負担を増やす可能性があるという意味だ。

バイデン氏は来年、民主主義国家の集まり「民主主義首脳会議」の開催を予告した。そのような脈絡で、トランプ政府の同盟軽視、権威主義国家の配慮など、異常な外交パターンは消え、人権・反腐敗・民主主義の拡散など「価値重視外交」に重点を置くようになるだろうとみる。外交安保に対して長年の経験を持つバイデン氏は、方法論としては実用を強調するものとみられる。バイデン政府は日本を東アジア戦略の基本と見なすことが予想される。バイデン氏は菅義偉首相との電話会談で日本をインド太平洋戦略の「礎」と表現した。このことから考えると、バイデン氏は韓日関係悪化を傍観したトランプ氏とは違い、対中国けん制、韓半島(朝鮮半島)安定化の観点で、韓日米3角協力復元に注力するものとみられる。そうした点で、不明瞭な状態であるGSOMIA(軍事情報包括保護協定)を正常化する問題が残っている。

韓国がインド太平洋戦略に参加するかどうかも韓日関係に相当な影響を及ぼすだろう。バイデン政府発足に合わせて、どの内容でどのように参加するのか、多くの悩みが必要だ。

朴チョル熙(パク・チョルヒ)ソウル大学教授=まず2つの質問を投じたい。バイデン政府は「民主主義首脳会議」という民主主義国家を中心にした連合体を通じて世界秩序を運営し、中国に対してもけん制する態度を示すだろう。韓国はどのような立場を取るべきか。バイデン政府が韓日関係に関心を持つのはありがたいが、負担になる可能性がないとは言えない。

日本は韓国に対する不信が深まり、「インド太平洋戦略」や日本・米国・オーストラリア・インドが参加する戦略対話に韓国などを加える「クアッド・プラス」などから韓国を排除しようとする傾向がみえる。そうした点で日本がバイデン政府に「韓国は重要ではないので、様子を見守った後に参加について決めよう」という可能性がある。

◆東京オリンピック(五輪)活用は良いが開催不透明

申ガク秀氏=民主主義首脳会議には無条件で出席しなければならない。これに先立ち、文在寅(ムン・ジェイン)政府はトランプ大統領のG7拡大構想に肯定的に応じた。これは参加国構成上、英国が提案した民主主義連合体である『D10』と違うところがない。ただし、連合体の性格が反中国にならないように、われわれが積極的な役割を果たせば中国の懸念を払拭させることができる。バイデン政府の韓日関係に対する関心は韓国側にさらなる負担にならざるを得ない。強制徴用は1965年韓日請求権協定、慰安婦は2015年韓日合意がある。米国からの視点では、むしろ『合意を守りなさい』という方向で韓国を圧迫する可能性のほうが高い。

柳明桓(ユ・ミョンファン)元外交部長官=ビル・クリントン政府末期に民主主義拡散を外交政策の優先順位に置いて『民主主義共同体』を創設したことがある。当時米国は韓国を核心20カ国に指定するほど韓国の参加を重視していた。このような脈絡からみると、ここに参加しないのは正常な韓米関係では考えられないことだ。

バイデン氏は副大統領時期である2013年に韓日中を歴訪し、日本に立ち寄って安倍首相から『靖国神社に参拝しに行かない』という約束を取り付けるほど歴史問題をよく認識している。このようなバイデン氏の過去を、国務長官に指名されたトニー・ブリンケン氏や国家安全保障担当大統領補佐官に指名されたジェイク・サリバン氏ら側近はよく知っている。このため韓日関係改善に積極的に取り組んでいくようだ。オバマ政権のときのように、韓日米首脳会談を開き、韓日首脳会談を取り持つ可能性もある。

魏聖洛(ウィ・ソンラク)元駐ロシア大使=強制徴用問題の解決を急がなければならない。バイデン政府は、請求権協定上、紛争解決手続きである二国間協議や仲裁委員会に韓国が応じないことが常識に合わないと判断するかもしれない。われわれが2つとも拒絶したため米国を説得する論理がない。時間が経つほど米国の圧迫は大きくなるだろう。われわれが先制的に対処してこそ信頼構築に役立つ。五輪開催も不透明な状況で『東京五輪までは何もしなくてもいい』というような対応は建設的ではない。

崔相龍(チェ・サンヨン)元駐日大使=日米政権が交代したことは別の見方をすれば絶好の機会だが、このような変化にしっかり適応していかなければならない。幸い、韓国政府も自己修正の必要性は感じているようだ。韓日関係で「外交ポピュリズム」が危険レベルだが、これを克服するには中産層の役割が重要だと考える。ところで日本が輸出規制をした当時に不買運動に参加した中産層が、最近世の論調査によると韓日関係改善を希望しているとの結果も出ている。注目するに値する部分だ。政府は『過去の歴史原理主義』を脱するか、少なくとも克服の意志を示すべきだ。また、外交での「善悪二分法」を越えなければならない。

徐錫崇(ソ・ソクスン)韓日経済協会副会長=慰安婦合意の場合、請求権協定とは関係のない別途の主題だったため解決の可能性があった。しかし強制徴用問題は規模や性格はもちろん、大法院と企業の関与程度などあまりに違すぎる。どのような代案が可能なのか疑問だ。最近押収された日本企業の国内資産の現金化措置を東京五輪まで凍結しようという話が出ているが、どのようにしたら可能なのか理解できない。長引くほど回復不可能なさまざまなことが経済分野に現れてくるのではないかという懸念がある。



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